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労働者派遣法

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労働者派遣法

労働者派遣法とは、派遣労働者の保護と雇用の安定を目的とする法律です。派遣の仕組み・期間制限・企業が守るべきルールを解説します。

労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)とは、派遣元事業主・派遣先・派遣労働者の三者間の関係を規律し、派遣労働者の保護と雇用の安定を図ることを目的とした法律です。1986年に施行されて以降、2012年改正、2015年改正、2020年改正(同一労働同一賃金)など複数回の改正を経て現在に至っています。

労働者派遣の基本構造

労働者派遣とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令のもとで働かせることをいいます(同法第2条第1号)。通常の雇用関係では「雇用主=指揮命令者」ですが、派遣では雇用関係は派遣元にあり、実際の業務指示は派遣先が行うという点に特徴があります。

この三者関係において、賃金の支払いや社会保険・雇用保険の加入義務は派遣元が負いますが、労働時間管理や安全衛生管理については派遣先にも責任が生じます。業務上の負傷や職業病が発生した場合の労災補償は、雇用主である派遣元が行います。

派遣元事業主は厚生労働大臣の許可を受けなければ事業を行うことができません(第5条)。2015年改正により、届出制であった特定労働者派遣事業は廃止され、すべての派遣事業が許可制に統一されました。許可を受けていない事業者から派遣を受け入れることは禁止されており、派遣先にも確認義務があります。

派遣禁止業務

派遣が禁止されている業務として、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関係業務(一部例外あり)が同法施行令第2条で定められています。これらの業務に労働者を派遣することはできません。

医療関係業務については、一定の例外があります。紹介予定派遣や病院・診療所以外の施設における業務(社会福祉施設での医療行為など)については派遣が認められるケースがあります。

弁護士・公認会計士・税理士などの士業については、一般に派遣が可能ですが、弁護士法・公認会計士法・税理士法などの資格法の規制に従う必要があります。

期間制限のルール

2015年改正で導入された現行の期間制限は、事業所単位と個人単位の2つの制限から構成されています。

事業所単位の制限では、同一の派遣先事業所に対して派遣できる期間は原則3年です(第40条の2第1項・第2項)。3年を超えて派遣を受け入れるには、派遣先の過半数労働組合等の意見聴取が必要です。意見聴取を行えば、さらに3年の延長が可能です。意見聴取は受入れ期間が終了する1か月前までに行う必要があります。

個人単位の制限では、同一の派遣労働者を派遣先の同一の組織単位(課やグループ等)で受け入れられる期間は3年が上限です(第40条の3)。この制限は延長できないため、3年を超える場合は派遣労働者を交代させるか、派遣先での直接雇用に切り替える必要があります。

無期雇用派遣労働者や60歳以上の派遣労働者には、これらの期間制限は適用されません。

同一労働同一賃金への対応

2020年4月施行の改正により、派遣労働者についても同一労働同一賃金の原則が適用されています。派遣元事業主は、「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」のいずれかを選択して対応しなければなりません(第30条の3、第30条の4)。

派遣先均等・均衡方式は、派遣先の正社員と比較して不合理な待遇差がないようにする方式です。派遣先は比較対象となる労働者の待遇情報を派遣元に提供する義務があります(第26条第7項)。

労使協定方式は、派遣元事業主と過半数労働組合等の間で労使協定を締結し、一定水準以上の待遇を確保する方式です。厚生労働省が毎年公表する「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」以上の賃金を確保することが要件となります。実務上は労使協定方式を選択する派遣元が多くなっています。

派遣先企業の義務

派遣先企業には、派遣元との連携に関するさまざまな義務が課されています。

比較対象労働者の待遇情報の提供(派遣先均等・均衡方式を採用する場合)、派遣労働者に対する教育訓練の機会の提供(第40条第2項)、給食施設・休憩室・更衣室などの福利厚生施設の利用機会の付与(同条第3項)などがあります。

また、派遣期間制限に近づいた場合に雇用安定措置をとることが派遣元に義務付けられており、派遣先への直接雇用の依頼も雇用安定措置の一つです。派遣先として直接雇用の依頼を受けた際の対応についても、あらかじめ方針を定めておくことが望ましいです。

偽装請負の問題

派遣と類似した労働形態として「業務委託(請負)」があります。請負は派遣と異なり、発注者が業務の結果を買うという契約であり、発注者は請負会社の労働者に対して直接指揮命令を行うことができません。

実態として発注者が労働者に対して業務指示を出しているにもかかわらず、形式上は業務委託として契約しているケースを「偽装請負」と呼びます。偽装請負は労働者派遣法違反となり、是正指導や許可取消しの対象となる可能性があります。

業務委託を活用している場合は、発注者側の担当者が受託会社の作業員に直接業務指示を出していないか、就業場所・時間・方法を発注者が指定していないかを確認し、適切な委託の形態を維持することが重要です。

まとめ

労働者派遣法は派遣元・派遣先・派遣労働者の三者間の関係を規律し、派遣労働者の保護を図る法律であり、すべての派遣事業は許可制となっています。事業所単位(3年、意見聴取で延長可)と個人単位(3年、延長不可)の2つの期間制限を遵守する必要があります。同一労働同一賃金への対応が義務付けられており、派遣先企業にも情報提供や教育訓練の機会提供などの責任があります。偽装請負にならないよう業務委託の形態を適切に管理することも派遣先企業にとって重要な課題です。

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