連結納税 -- グループ企業が一体として法人税を申告する制度
連結納税 -- グループ企業が一体として法人税を申告する制度
連結納税とは、親会社と100%子会社がグループ全体で法人税を計算・申告する制度です。2022年4月からグループ通算制度に移行しています。
連結納税とは、親会社とその100%子会社が一つの納税単位として法人税を申告・納付する制度です。2002年に導入されましたが、2022年4月1日以後に開始する事業年度からはグループ通算制度に移行しています。
連結納税とは
連結納税制度は、法人税法第4条の2以下に規定されていた制度であり、親会社(連結親法人)とその完全支配関係にある子会社(連結子法人)がグループ全体の所得を通算して法人税を計算するものでした。グループ内の黒字法人と赤字法人の所得を損益通算できるため、グループ全体の税負担を最適化できるメリットがありました。
連結納税制度における「完全支配関係」とは、議決権のある発行済株式の100%を直接または間接に保有している関係を指します。99%では対象外となるため、子会社の株式保有割合には注意が必要でした。また、制度の適用は任意選択ではなく、一度承認を受けると原則として取消しができないという特徴があり、グループ全体での税負担最適化を検討する際に慎重な判断が求められました。
グループ通算制度への移行
2020年度税制改正(令和2年法律第8号)により、連結納税制度はグループ通算制度に見直されました。グループ通算制度では、各法人が個別に法人税の申告を行いつつ、所得と欠損金の通算をグループ内で行う仕組みに変更されています。
グループ通算制度の主な変更点として、各法人が個別申告を行う点があります。旧来の連結納税では親法人が一括して申告していましたが、グループ通算制度では各法人が個別に申告書を作成・提出します。修更正時の影響が他法人に原則として波及しない点(遮断措置)も大きな変更点であり、一法人の申告誤りがグループ全体の再計算を引き起こす事態を防ぐ仕組みが整備されました。繰越欠損金の通算方法についても、一定の制限が設けられています。
この制度変更は、旧連結納税制度の実務上の複雑さ(修更正時の連鎖的な影響など)を解消することを目的としたものです。
中小企業グループへの影響
中小企業グループにおいても、親会社が完全支配する子会社群がある場合、グループ通算制度の適用を検討する価値があります。グループ内に黒字法人と赤字法人が混在している場合、損益通算によって全体の税負担を圧縮できる可能性があります。
一方で、制度の適用には管理負担が伴います。各法人が個別に申告書を作成するとはいえ、グループ全体での通算計算が必要であり、会計ソフトや税務システムへの対応、顧問税理士との連携強化が不可欠です。グループ企業数が少ない中小企業の場合、制度適用による節税効果が管理コストを上回るかどうかを慎重に見極めることが重要です。
また、グループ通算制度を適用している状態でグループ構造を変更する場合(子会社の売却・追加など)には、税務上の影響が複雑になります。M&A・事業承継を検討する際には、グループ通算制度の適用の有無とその影響を事前に確認することが不可欠です。
適用開始と離脱の手続き
グループ通算制度の適用を受けるには、親法人が所轄税務署長に対して「グループ通算制度の承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります(法人税法第64条の9)。申請は適用を受けようとする事業年度開始の日の3か月前までに行う必要があり、承認がなされると取消しがない限り継続して適用されます。
新たに完全支配関係が成立した子法人は自動的にグループ通算制度の適用法人に加わります。完全支配関係が解消された場合は離脱となりますが、離脱時には繰越欠損金の取扱いや時価評価の要否を検討しなければなりません。繰越欠損金については、グループ通算制度の適用期間中に生じた欠損金と制度適用前のものとで取扱いが異なる場合があるため、離脱前に税理士と十分な確認が必要です。
まとめ
連結納税制度は2022年4月以降、グループ通算制度に移行しました。グループ内の損益通算による税負担の最適化は引き続き可能ですが、個別申告方式への変更や修更正時の遮断措置など制度の仕組みが変わっているため、適用を検討する場合は税理士と十分に協議してください。グループ構造の変更を伴う組織再編の際には、グループ通算制度への影響を事前に確認することも重要です。