財務改善ナビ
用語集

債務調整

用語集 4分で読める

債務調整

債務調整とは、債務者が返済困難に陥った際に、債権者との交渉により返済条件を変更する手続きです。リスケジュール、DES、債権放棄などの手法と法的根拠を解説します。

債務調整とは、企業が借入金の返済が困難になった場合に、金融機関などの債権者と交渉して返済条件を変更することを指します。具体的には、返済期間の延長(リスケジュール)、金利の引下げ、元金返済の一時猶予、債権の一部放棄(債権カット)、債務の株式化(DES: デット・エクイティ・スワップ)などの手法があります。

債務調整の主な手法

リスケジュールは、最も一般的な債務調整の方法です。返済期間を延長したり、一定期間の元金返済を猶予したりすることで、月々の返済負担を軽減します。金融機関監督指針(金融庁)では、中小企業から条件変更の申出があった場合、金融機関はできる限り対応するよう求めています。中小企業金融円滑化法は2013年3月に期限切れとなりましたが、その趣旨は金融機関の監督指針に引き継がれています。

リスケジュールを申請する際は、単に「返済が苦しい」という事実を伝えるだけでなく、経営改善計画書とともに申請することが重要です。現状の財務状況の分析、悪化の原因、具体的な改善施策、今後の返済見通しを数字で示すことで、金融機関の理解と協力を得やすくなります。

債権放棄(債権カット)は、債権者が貸付金の一部を放棄する方法です。債務者にとっては借入金が減少し、財務改善の効果が大きい一方、免除された金額は「債務免除益」として法人税の課税対象となります(法人税法第22条第2項)。繰越欠損金がある場合はそれと相殺できるため、実際の税負担が生じないケースもあります。

DES(デット・エクイティ・スワップ)は、債権者が貸付金を放棄する代わりに債務者企業の株式を取得する方法です。債務者は借入金が減少して財務体質が改善し、債権者は将来の株式価値の上昇による回収を期待できます。

私的整理と法的整理

債務調整は、私的整理(債権者との任意の交渉)と法的整理(裁判所の関与のもとで行う手続き)に大別されます。私的整理は柔軟な対応が可能で事業への影響が小さい一方、全債権者の同意が必要です。法的整理(民事再生法、会社更生法)は多数決により債務調整を実現できますが、手続きの公開性から事業への影響が大きくなる傾向があります。

中小企業の事業再生においては、中小企業活性化協議会の支援を受けた私的整理が多く活用されています。協議会が中立的な立場で金融機関との調整を行うため、債務者企業が単独で交渉するよりもスムーズに進みやすいという利点があります。

債務調整と事業再生の関係

債務調整は、事業再生の手段のひとつとして位置づけられます。財務上の問題(過大な借入金)を解決するだけでなく、事業そのものの収益力を回復させることが再生の目標です。債務が軽減されても事業の収益力が改善しなければ、再び返済困難に陥る可能性があります。

このため、債務調整は経営改善計画と一体で進めることが求められます。計画には、収益改善策(売上の拡大または維持、コスト削減)、不採算事業・不良資産の整理、組織・業務プロセスの見直しなどを含め、再生後の姿を具体的に描くことが重要です。

債務調整前に確認すべきこと

債務調整を検討する前に、まず自社の財務状況を正確に把握することが前提となります。BS上に回収困難な売掛金や不要な資産が含まれている場合、それらを整理することで資金が生まれ、債務調整の必要性自体が変わる可能性があります。

長期滞留の売掛金が存在する場合は、未収金買取を活用して早期に現金化し、返済財源の確保や借入金の一部返済に充てることも選択肢のひとつです。

また、リスケジュールを申請する場合、申請後は新規融資を受けにくくなるという実態があります。リスケ中であっても資金繰りの問題が解決しない場合、運転資金の確保がより難しくなることを念頭に置き、他の資金調達手段と組み合わせた計画を立てることが求められます。

まとめ

債務調整は、返済困難な状況に陥った企業が事業を継続するための重要な手段です。早期に専門家(税理士・弁護士・中小企業診断士)や中小企業活性化協議会に相談し、事業再生と一体となった形で進めることが成功の鍵となります。問題を先送りするほど選択肢は狭まるため、経営悪化の兆候を感じた段階で、早めに無料相談で現状を整理することが重要です。

用語集の新着記事

用語を実務上の確認事項に置き換える

制度名や会計用語の意味だけでなく、実際に確認する資料と手順を整理します。

確認事項を整理する