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下請法

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下請法

下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは、親事業者と下請事業者の取引の公正を確保するための法律です。適用対象と禁止行為を解説します。

下請法(正式名称:下請代金支払遅延等防止法)とは、親事業者(発注者)が下請事業者(受注者)に対して不当な取引条件を強いることを防止し、下請取引の公正化と下請事業者の利益保護を図るための法律です。独占禁止法の特別法として1956年に制定され、公正取引委員会と中小企業庁が共同で運用しています。

下請法の適用対象

下請法は、すべての事業者間取引に適用されるわけではなく、親事業者と下請事業者の資本金の規模と取引内容によって適用範囲が定められています。

物品の製造委託・修理委託の場合は、親事業者の資本金が3億円超で下請事業者の資本金が3億円以下の場合、または親事業者の資本金が1,000万円超3億円以下で下請事業者の資本金が1,000万円以下の場合に適用されます。情報成果物作成委託・役務提供委託の場合は、親事業者の資本金が5,000万円超で下請事業者の資本金が5,000万円以下の場合、または親事業者の資本金が1,000万円超5,000万円以下で下請事業者の資本金が1,000万円以下の場合に適用されます。

なお、個人事業主であっても下請事業者として保護の対象になります。発注する側が法人でも個人でも、資本金の規模要件を満たせば適用が生じる点を押さえておくことが重要です。

親事業者の義務と禁止行為

下請法は、親事業者に4つの義務と11の禁止行為を定めています。

親事業者の義務として、発注書面の交付義務(第3条)、発注書面の保存義務(第5条)、下請代金の支払期日を定める義務(第2条の2)、遅延利息の支払義務(第4条の2)があります。支払期日は、物品等の受領日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定めなければなりません。支払が遅延した場合、年率14.6%の遅延利息が自動的に発生します。

禁止行為としては、受領拒否、下請代金の支払遅延、下請代金の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、報復措置、有償支給原材料等の対価の早期決済、割引困難な手形の交付、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直しの11項目が定められています(第4条)。

なかでも実務でトラブルになりやすいのが「買いたたき」と「減額」です。発注後に一方的な値下げ要求を行ったり、検収を理由に代金を差し引いたりする行為は、たとえ下請事業者が同意していたとしても違法となる場合があります。

違反した場合、公正取引委員会による勧告(違反事実の公表を含む)や、中小企業庁長官による措置請求が行われます。下請事業者は、取引上の不当な取扱いを受けた場合に公正取引委員会または中小企業庁に申告することができます。

下請事業者として知っておくべき実務対応

下請事業者の立場にある中小企業が身を守るために、取引前に確認しておくべきことがあります。

発注書(注文書)が交付されているかどうかを必ず確認します。口頭での発注だけで作業に着手すると、後から発注内容や代金をめぐる争いになりやすく、法的な保護を受けにくくなります。下請法第3条は、発注書面に記載すべき事項(品名・数量・単価・支払期日等)を定めており、これが揃っていない場合は親事業者に交付を求める権利があります。

支払条件についても、事前に明文化することが重要です。受領後60日以内の支払いが法律上の原則ですが、手形払いの場合は手形サイトと割引コストを考慮する必要があります。割引困難な長期手形の交付は禁止行為にあたるため、手形サイトが120日を超えるような条件は問題となる可能性があります。

取引記録は保存義務がある親事業者だけでなく、下請事業者側も保管しておくことが重要です。交わされたメールや見積書、発注書、検収書などを7年間を目安に保管しておけば、紛争が生じた際の証拠として機能します。

売掛金の管理や回収については、未収金・売掛金の管理と回収方法も合わせて参照してください。

違反申告と相談窓口

下請法違反を受けたと考えられる場合、公正取引委員会(下請取引相談窓口)または中小企業庁(下請かけこみ寺)に申告・相談することができます。申告者の秘密は保護されており、報復措置を受けた場合はそれ自体が下請法違反として取り扱われます。

公正取引委員会は毎年、下請法違反件数や勧告事例を公表しており、業種別のリスクを把握する参考資料として活用できます。

まとめ

  • 下請法は親事業者と下請事業者の資本金規模に応じて適用され、親事業者に発注書面の交付や60日以内の支払いなどの義務を課している
  • 受領拒否、支払遅延、下請代金の減額、買いたたきなど11の禁止行為が定められており、違反には公正取引委員会による勧告が行われる
  • 下請事業者は発注書の交付を求める権利を持ち、違反を受けた場合は公正取引委員会または中小企業庁の下請かけこみ寺に申告できる

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