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登録免許税 — 登記・登録の際に課される国税

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登録免許税 — 登記・登録の際に課される国税

登録免許税とは、不動産登記や法人登記などの際に課される国税です。登録免許税法に基づく課税対象、税率、軽減措置について解説します。

登録免許税とは、不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記、法人の設立登記など、各種の登記・登録を行う際に国に納付する税金です。登録免許税法(昭和42年法律第35号)に基づいて課税されます。企業の財務改善や事業再生の場面では、不動産の任意売却、担保権の設定・抹消、会社の設立・合併・清算など、さまざまな局面で登録免許税の負担が発生します。

課税対象と納税義務者

登録免許税が課される登記・登録は、登録免許税法の別表に網羅的に列挙されています。主なものとして、不動産の権利に関する登記(所有権保存・移転・抵当権設定など)、商業・法人登記(設立・役員変更・増資・合併など)、船舶や航空機の登録、特許権等の工業所有権の登録などがあります。

納税義務者は、登記や登録を受ける者です(登録免許税法第3条)。不動産の売買による所有権移転登記の場合、法律上は売主と買主の双方が連帯して納付義務を負いますが、実務上は買主が負担する慣行が一般的です。

主な税率と計算方法

登録免許税の額は、課税標準に税率を乗じて算出します。課税標準は登記の種類によって異なり、不動産の所有権に関する登記では固定資産税評価額が、抵当権設定登記では債権金額が、法人の設立登記では資本金の額がそれぞれ課税標準となります。

不動産に関する主な税率は以下のとおりです。

登記の種類課税標準税率
所有権保存登記不動産の価額0.4%
所有権移転登記(売買)不動産の価額2.0%
所有権移転登記(相続)不動産の価額0.4%
抵当権設定登記債権金額0.4%
抵当権抹消登記不動産1個につき1,000円

法人登記に関する主な税率は以下のとおりです。

登記の種類課税標準税率
株式会社の設立資本金の額0.7%(最低15万円)
合同会社の設立資本金の額0.7%(最低6万円)
資本金の増加増加した資本金の額0.7%(最低3万円)
合併による移転資本金の額0.15%(最低3万円)

DES(デット・エクイティ・スワップ)により資本金を増加させる場合にも、増加した資本金の額に対して0.7%の登録免許税が課されます。増資額が大きい場合は登録免許税の負担も相当な金額になるため、DESの検討段階でコスト試算に含めておくことが必要です。

軽減措置と特例

一定の要件を満たす場合には、登録免許税の軽減措置が適用されます。

住宅用家屋については、租税特別措置法に基づく軽減措置があります。新築住宅の所有権保存登記は通常0.4%のところ0.15%に、売買による所有権移転登記は通常2.0%のところ0.3%に軽減されます。これらの軽減措置は一定の要件(床面積50㎡以上、取得後1年以内の登記など)を満たす場合に適用されます。

事業再生の場面に関連するものとしては、産業競争力強化法に基づく認定事業再編計画に従って行う登記について、登録免許税の軽減措置が設けられる場合があります。また、会社分割による不動産の移転登記については、一定の要件のもとで軽減税率が適用されます。

M&A(合併・分割・株式交換等)に関する組織再編に伴う登記についても、組織再編の種類と要件に応じた軽減措置が設けられており、通常税率より低い税率が適用されるケースがあります。

計算例と資金計画への影響

具体的な計算例として、評価額1億円の事業用不動産の売買を行う場合の登録免許税(買主負担分)は、1億円×2.0%=200万円となります。この200万円は現金で納付する必要があり、不動産取得の際の資金計画に組み込んでおくことが重要です。

金融機関からの借入に際して抵当権設定登記を行う場合も、債権金額の0.4%の登録免許税が発生します。例えば5,000万円の融資に対して抵当権を設定する場合は5,000万円×0.4%=20万円の登録免許税が必要です。

法人の設立登記では、資本金300万円の株式会社を設立する場合、300万円×0.7%=2.1万円ですが、最低税額15万円の規定により15万円となります。資本金が2,142万円を超えると0.7%の計算額が15万円を上回るため、それ以上では計算額が適用されます。

財務改善・事業再生での活用場面

財務改善・BS改善の取り組みの中で、不動産の任意売却や担保の組み替えを検討する場合、登録免許税のコストを事前に把握しておくことが重要です。

事業再生に伴って不動産を売却する場合、売却代金から登録免許税(買主負担ですが、交渉によっては売主負担となるケースもあります)や抵当権抹消費用が差し引かれた実手取り額を正確に計算することが必要です。不動産が複数ある場合、抵当権抹消だけで数万円単位の費用が積み上がることもあります。

担保の組み替え(既存の抵当権を抹消して新たに設定する場合)では、抵当権抹消登記(不動産1個につき1,000円)と新たな抵当権設定登記(債権金額の0.4%)の両方が発生します。不動産の数が多い場合は、この費用も無視できない水準になります。

まとめ

登録免許税は、企業活動のさまざまな場面で発生する税負担です。不動産取引やM&A、事業再生における登記手続きでは、登録免許税の額が無視できない水準になることがあるため、事前に税額を把握し、資金計画に組み込んでおくことが重要です。軽減措置の適用可能性についても、税理士や司法書士に確認することが重要です。組織再編や事業再生を検討する際は、登録免許税を含めた総合的なコスト試算を行ってから意思決定することが望ましいです。

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