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税務調整

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税務調整

税務調整とは、企業会計上の利益と法人税法上の課税所得との差異を調整する手続きです。加算調整・減算調整の仕組みと別表四の記載方法を解説します。

税務調整とは、企業会計上の利益(当期純利益)を基礎として、法人税法上の課税所得を算定するために行う調整手続きです。企業会計と法人税法では、収益・費用の認識基準や計上時期が異なる場合があるため、確定申告書の別表四において所要の加算・減算を行います。

税務調整が必要な理由

企業会計は、株主や債権者に対して企業の財政状態と経営成績を適正に報告することを目的としています。一方、法人税法は公平な課税と税収の確保を目的としており、両者の目的の違いから、利益と課税所得にはしばしば差異が生じます。

日本の法人税は「確定決算主義」を採用しています。これは、株主総会で承認された決算(確定決算)を基礎として課税所得を計算するという原則であり、企業会計上の利益をベースに法人税法の規定に従った加算・減算を行って課税所得を算出します。

例えば、交際費は企業会計上は費用として認められますが、法人税法上は一定の限度額を超える部分が損金不算入とされます(租税特別措置法第61条の4)。資本金1億円以下の中小企業の場合、年間800万円までの交際費か、接待飲食費の50%のいずれかを選択して損金算入できます。このような差異を別表四で調整することで、適正な課税所得を算出します。

加算調整と減算調整

加算調整

加算調整は、企業会計上の利益に金額を加える調整です。会計上は費用として計上しているが、法人税法上は損金として認められないもの(損金不算入)や、会計上は収益に計上していないが法人税法上は益金として認識すべきもの(益金算入)が該当します。

代表的な加算項目としては、交際費等の損金不算入額、減価償却の償却超過額(会計上の償却費が税務上の限度額を超えた部分)、役員給与の損金不算入額(定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与以外のもの)、引当金の繰入超過額などがあります。役員退職金についても、過大と認定された部分は損金不算入として加算調整の対象となります。

減算調整

減算調整は、企業会計上の利益から金額を差し引く調整です。会計上は収益として計上しているが法人税法上は益金に算入しないもの(益金不算入)や、会計上は費用に計上していないが法人税法上は損金として認められるもの(損金算入)が該当します。

代表的な減算項目としては、受取配当等の益金不算入額、法人税等の還付金、圧縮記帳による圧縮額、前期に計上した引当金の当期取崩額などがあります。受取配当等の益金不算入は、法人税法第23条に規定されており、配当を受ける株式の保有割合に応じて不算入割合が異なります。

永久差異と一時差異

税務調整で生じる差異は、永久差異と一時差異に分類されます。

永久差異は、会計と税務の間で将来にわたって解消されない差異です。交際費の損金不算入額や受取配当等の益金不算入額がこれに該当します。永久差異は税効果会計の対象とはなりません。

一時差異は、計上時期の違いにより一時的に生じる差異であり、将来の事業年度で解消されます。減価償却の償却限度超過額や引当金の繰入限度超過額が代表的です。会計上に費用計上した金額が税務上は翌期以降に損金算入されるようなケースで発生します。

一時差異は税効果会計の対象となり、将来の税負担を減らす効果がある将来減算一時差異は繰延税金資産として、将来の税負担を増やす効果がある将来加算一時差異は繰延税金負債として貸借対照表に計上されます。

別表四の記載方法

別表四(所得の金額の計算に関する明細書)は、法人税確定申告書の中核をなす書類であり、税務調整の全体像を示すものです。

記載の流れは、まず「当期利益又は当期欠損の額」として企業会計上の当期純利益を記入します。そこに加算項目(損金不算入・益金算入)を加え、減算項目(益金不算入・損金算入)を差し引くことで「所得金額又は欠損金額」が算出されます。この金額が法人税の課税標準となる所得金額です。

別表四と連動して、別表五(一)(利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書)や各種の別表(別表七の繰越欠損金、別表十六の減価償却など)との整合性を確保する必要があります。

中小企業実務での主な調整項目

中小企業の確定申告において、特に頻繁に発生する税務調整項目を確認しておきます。

減価償却の償却超過は、会計上の耐用年数や償却率を独自に設定している場合に発生します。法定耐用年数による限度額を超えた部分は加算調整が必要です。役員給与については、期中に変更した場合や業績連動部分が定款・株主総会決議に基づかない場合に損金不算入となります。貸倒引当金は、法人税法上の繰入限度額(一括評価・個別評価の別)を超える部分が加算調整の対象です。

決算書の読み方・分析方法も参考に、税務調整の内容を正確に把握することが、適正な申告と節税対策の基礎となります。

まとめ

税務調整は企業会計の利益と法人税法の課税所得の差異を調整する手続きであり、確定申告書の別表四で行います。加算調整(損金不算入・益金算入)と減算調整(益金不算入・損金算入)の2種類があり、差異は永久差異と一時差異に分類されます。一時差異は税効果会計の対象となるため、繰延税金資産・負債の計上にも影響します。中小企業でも、役員給与・交際費・減価償却を中心に税務調整は必ず発生するため、顧問税理士と連携した正確な処理が重要です。

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