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事業継続力

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事業継続力

事業継続力とは、自然災害や感染症などの緊急事態が発生した際に、企業が中核事業を維持し早期に復旧する能力のことです。中小企業強靱化法に基づく認定制度との関係を解説します。

事業継続力とは、地震・台風などの自然災害、感染症の流行、大規模なサプライチェーンの途絶といった予期せぬ緊急事態に直面した際に、企業が中核事業の継続または早期復旧を図る力のことです。事業継続力の高い企業は、緊急時にも取引先や顧客への供給責任を果たし、事業の損失を最小限に抑えることができます。

事業継続力強化計画の認定制度

2019年に施行された中小企業強靱化法(中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律)に基づき、中小企業は「事業継続力強化計画」を策定し、経済産業大臣の認定を受けることができます。

事業継続力強化計画は、BCP(事業継続計画)の簡易版とも位置づけられ、中小企業が取り組みやすいよう策定項目が整理されています。計画には、自社の事業活動に影響を与えるリスクの認識、初動対応の内容、事前対策(ヒト・モノ・カネ・情報の観点)、平時の推進体制などを記載します。

認定を受けた企業は、防災・減災設備に対する特別償却(20%)の税制優遇、日本政策金融公庫による低利融資、信用保証協会による信用保証枠の追加、ものづくり補助金等の加点措置といった支援を受けられます。

事業継続力と財務の関係

事業継続力を高めるうえで、財務面での備えは特に重要です。緊急時に事業を継続するためには、一定の手元流動性(現金・預金または即時現金化できる資産)が必要です。売上がゼロになった場合でも、固定費(人件費・家賃・借入返済)を何ヶ月賄えるかを把握しておくことが、リスク管理の基本的な出発点となります。

緊急時の資金調達手段として、セーフティネット保証(中小企業信用保険法第2条第5項)や危機関連保証制度があります。これらは平時から制度の内容を理解し、必要書類の準備をしておくことで、緊急時に迅速に活用できます。また、緊急経済対策として政府が実施する制度融資(新型コロナウイルス感染症対策融資がその代表例)も、過去の事例として制度の概要を知っておく価値があります。

平時の資金繰りを安定させておくことが、緊急時の対応余力に直結します。慢性的な資金繰り不足の状態では、緊急事態が発生した際に事業継続のための対応策を取るための資金がなく、廃業を余儀なくされるリスクが高まります。

事業継続力の強化に向けた取り組み

事業継続力を高めるためには、計画の策定だけでなく、定期的な訓練と見直しが重要です。従業員への周知と安否確認体制の整備、重要データのバックアップ、代替調達先の確保、緊急時の資金繰り対策(当座の運転資金の確保、緊急融資制度の把握)など、平時から段階的に取り組むことが求められます。

中小企業庁は事業継続力強化計画の策定を支援するためのガイドラインや申請様式をウェブサイトで公開しており、商工会議所や商工会でも策定支援を行っています。

取引先(特に大企業やサプライチェーン上の主要顧客)が事業継続力強化計画の認定を取得しているサプライヤーを優先するケースが増えており、受注獲得・取引維持の観点からも認定取得の意義が高まっています。

BCPとの違い

BCP(Business Continuity Plan: 事業継続計画)は、緊急事態発生時に中核事業を継続するための詳細な計画書です。事業継続力強化計画との主な違いは、BCPがより詳細で包括的な計画(代替拠点の確保、従業員の役割分担、顧客への連絡方法など)を求めるのに対し、事業継続力強化計画は中小企業でも取り組みやすい簡易な内容となっている点です。

BCPには法定の様式や認定制度がない一方で、事業継続力強化計画は認定を受けることで具体的な支援措置につながるという実利的なメリットがあります。中小企業の実務では、事業継続力強化計画の認定取得を入口とし、徐々にBCPとしての内容を充実させていくアプローチが現実的です。

まとめ

事業継続力は緊急事態における中核事業の維持・復旧能力であり、取引先の信頼確保や経営リスクの軽減に直結します。中小企業強靱化法に基づく事業継続力強化計画の認定を受けることで税制優遇や融資・保証の支援を活用できます。計画の策定にとどまらず、定期的な訓練と見直しを通じて実効性を高めることが重要であり、財務面での備えが事業継続力の根幹を支えます。

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