税務調査
税務調査
税務調査とは、税務署が納税者の申告内容の正確性を確認するために行う調査です。調査の種類・流れ・中小企業が準備すべき事項を解説します。
税務調査とは、国税通則法に基づき、税務署(国税局)の調査官が納税者の申告内容が正確かどうかを確認するために行う一連の調査手続きです。法人税・所得税・消費税・相続税など、主要な税目が調査の対象となります。中小企業にとっては、数年に一度は経験する可能性がある重要な手続きです。
税務調査の種類
税務調査は大きく「任意調査」と「強制調査」に分かれます。
任意調査は、国税通則法第74条の2以下に基づいて行われる調査であり、大多数の税務調査はこれに該当します。「任意」とはいえ、正当な理由なく調査を拒否すると罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、国税通則法第128条)が科される場合があるため、実質的には受忍義務があります。
任意調査はさらに、税務署員が事業所を訪問して帳簿書類を確認する「実地調査」と、税務署に呼び出して行う「署内調査」に分かれます。中小企業に対しては実地調査が一般的です。
強制調査(いわゆる「マルサ」)は、国税犯則取締法(現・国税通則法第11章)に基づき、裁判官の許可状を得て行われる調査です。悪質な脱税が疑われるケースに限定されるため、通常の中小企業が対象となることはほとんどありません。
税務調査の一般的な流れ
任意調査は通常、次の流れで進みます。
税務署から事前通知が行われます(国税通則法第74条の9)。原則として調査開始日の相当程度前に、調査対象の税目、調査対象期間(通常直近3年間)、調査開始日時、調査場所などが通知されます。ただし、事前通知をすることにより正確な事実の把握が困難になると認められる場合は、事前通知なしに調査が行われることもあります。
調査当日は、帳簿書類・領収書・請求書・契約書・預金通帳などの原始記録を確認しながら、経理担当者や代表者への質問が行われます。調査期間は中小企業の場合、通常1日から3日程度です。
調査終了後、申告内容に誤りがなければ「更正決定等をすべきと認められない旨の通知」が書面で送付されます。誤りが認められた場合は修正申告の勧奨が行われ、修正申告に応じない場合は税務署長が更正処分を行います。
修正申告と追加税額
修正申告を行うと、本来の税額との差額(本税)に加えて、延滞税と過少申告加算税が発生します。
延滞税は、納税期限の翌日から修正申告した日まで、年利で計算されます。令和3年以降の割合は「特定基準割合+1%」(納期限から2か月以内)または「特定基準割合+7.3%(最高)」(2か月経過後)です。
過少申告加算税は、本税の10%(一定額を超える部分については15%)が課されます(国税通則法第65条)。調査を受ける前に自主的に修正申告を行えば過少申告加算税は課されないため、誤りに気づいた場合は早期の自主修正が有利です。
重加算税は、仮装・隠蔽という悪質な行為が認められた場合に課されます。過少申告の場合は35%、無申告・不申告の場合は40%と、通常の加算税より大幅に高い水準です(国税通則法第68条)。
調査官が注目する主な項目
税務調査で特に確認される事項として、以下が挙げられます。
売上の計上時期(期ずれ)は、12月・3月決算期の年末や決算期末の売上が翌期に計上されていないかが確認されます。交際費の内容と相手先は、参加者名・会食場所・目的が記載されているか、個人的な飲食と区別されているかが問題になります。
役員給与の妥当性では、定期同額給与の要件(各事業年度の開始後3か月以内の決議による設定、毎月同額の支給)を満たしているかが確認されます。棚卸資産の評価については、実地棚卸を行っているか、帳簿と実態が一致しているかが問われます。
仕入や外注費については、取引の実態があるか、架空の発注・仕入が行われていないかが確認されます。取引先との契約書・発注書・納品書の整合性が重要です。
中小企業が準備すべきこと
税務調査への備えとして、日頃から帳簿書類を正確に記帳し、証拠書類を整然と保存しておくことが最も重要です。法人税法では、帳簿や取引書類を原則7年間(欠損金がある事業年度は10年間)保存する義務が定められています(法人税法施行規則第59条、第67条)。
顧問税理士がいる場合は、税理士法第33条の2に基づく書面添付制度を活用することで、調査前に税理士への意見聴取が行われ、調査の省略または効率化につながる場合があります。書面添付は税理士が申告書の内容について責任を持つことを示す制度であり、税務当局からの信頼性を高める効果があります。
決算書の読み方・財務分析を理解したうえで、自社の申告内容の整合性を定期的に確認することも有効な備えです。
まとめ
税務調査は国税通則法に基づく手続きであり、中小企業に対しては任意調査(実地調査)が一般的に行われます。事前通知から調査実施、結果通知までの一連の流れがあり、修正すべき事項がなければ書面で通知されます。修正申告を行う場合には本税に加えて延滞税・加算税が発生するため、日頃からの正確な記帳と証拠書類の保存が最善の準備です。誤りに気づいた場合は自主的な修正申告が有利であり、税理士の書面添付制度の活用も有効な対策となります。