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資産流動化 -- 資産を証券化して資金を調達する手法

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資産流動化 -- 資産を証券化して資金を調達する手法

資産流動化とは、企業が保有する資産(債権・不動産等)を特別目的会社に移転し、その資産を裏付けとして証券を発行し資金を調達する手法です。

資産流動化とは、企業が保有する資産(売掛債権、不動産、リース債権など)を特別目的会社(SPC)や信託に移転し、その資産のキャッシュフローを裏付けとして有価証券(資産担保証券)を発行し、投資家から資金を調達する仕組みです。資産の流動化に関する法律(資産流動化法)がその法的基盤を提供しています。

資産流動化の基本的な仕組み

資産流動化の基本的な構造は、原保有者(オリジネーター)が特定の資産をSPC等に真正売買(トゥルーセール)により移転し、SPCがその資産を裏付けに証券を発行して資金調達を行うものです。オリジネーターは資産の売却代金として資金を得ることができ、貸借対照表から当該資産を除外(オフバランス化)できます。

資産流動化法では、特定目的会社(TMK)を設立し、資産流動化計画に基づいて特定資産の取得と資産対応証券の発行を行う枠組みが規定されています。流動化対象の資産には、住宅ローン債権、商業用不動産、クレジット債権、リース債権、売掛債権など幅広い種類が含まれます。

真正売買(トゥルーセール)の要件を満たすことが法的オフバランスの前提となります。形式上は売買であっても実態が担保融資と判断される場合は、資産がBSから除外されず、流動化の目的が達成されないため、法務・会計の観点から慎重な設計が必要です。

中小企業との関連

中小企業が直接的に資産流動化を実施するケースは限定的ですが、ファクタリング(売掛債権の売却)やABL(動産・売掛債権担保融資)は、広い意味での資産流動化に含まれます。2020年施行の改正民法(第466条第2項)により、譲渡制限特約付き債権の譲渡も有効となったことで、中小企業の売掛債権を活用した資金調達が促進されています。

ファクタリングは、売掛債権を売却して期日前に現金化する手法です。銀行融資と異なり、企業の信用力ではなく売掛先の信用力を基準に審査されるため、財務状況が厳しい企業でも利用できる場合があります。売掛金の早期現金化による資金繰り改善については、ファクタリングの基本と活用方法をご参照ください。

ABLは、在庫や売掛債権、機械設備などの動産を担保として金融機関から融資を受ける手法です。不動産担保が少ない中小企業や製造業者にとって、担保の幅を広げる有効な選択肢です。

資産流動化のメリットとリスク

資産流動化の最大のメリットは、貸借対照表のスリム化による財務指標の改善です。資産をオフバランスすることで自己資本比率やROA(総資産利益率)が向上し、金融機関からの評価改善につながります。また、銀行借入と異なる資金調達チャネルを確保できるため、資金調達手段の分散化にも寄与します。

資金調達の多様化はBS改善の観点からも有効な施策です。特に、売掛債権が多くBSが重い状態にある企業では、流動化によって財務体質の改善と資金繰りの安定化を同時に実現できます。

一方で、資産流動化にはコスト面の課題があります。SPCの設立費用や運営費用、法務・会計の専門家報酬、格付取得費用などが発生し、小規模な流動化ではコストに見合わないことがあります。ファクタリングや手形割引など、より簡便な手法と比較したうえで、自社の規模と目的に合った手段を選択することが重要です。

よくある誤解

資産流動化と借入を混同するケースがあります。資産流動化では資産を売却して資金を得るため、BSの負債は増加しません。これに対して融資は負債(借入金)が増加します。資金調達後の財務指標への影響が異なるため、目的に応じて使い分けることが求められます。

また、オフバランス化によって「その資産に関するリスクがすべて消える」わけではありません。回収リスクの一部をオリジネーターが保持する(劣後出資やリコース条項)構造になっている場合は、実質的に信用リスクが残ります。会計上のオフバランス要件(IFRS・日本基準)を満たしているかどうかは、監査法人や公認会計士との確認が必要です。

まとめ

  • 資産流動化は、企業が保有する資産を活用して資金を調達する手法であり、貸借対照表のスリム化と資金調達手段の多様化に貢献する
  • 中小企業にとっては、ファクタリングやABLなどの形で身近な資金調達手段となっており、改正民法の施行によりその活用の幅が広がっている
  • 真正売買要件やコスト負担など、実務上の制約を正確に把握したうえで活用を検討することが重要である

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