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自治体支援で資金調達コストを下げる

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制度融資の利子補給・保証料補助とは|実質金利0%も可能な自治体支援

自治体の利子補給で実質負担ゼロになるケースもあります。制度融資の三者スキーム、利子補給額の計算例(1,000万円借入で年10万円補給)、東京・大阪・愛知の主要制度比較、申請手順と審査のポイントをまとめました。

制度融資は、民間の銀行融資では調達が難しい中小企業でも比較的利用しやすい資金調達手段ですが、その使い勝手の良さの源泉は「自治体が利子や保証料の一部を肩代わりする仕組み」にあります。金利が低いだけと思っている経営者は多いですが、実際には利子補給と保証料補助が重なり合って実質コストが下がる構造です。

本記事では、制度融資の三者スキームの構造から利子補給・保証料補助の計算方法、主要自治体の制度比較、申請の実務手順までを解説します。

制度融資の基本構造

制度融資は、自治体・信用保証協会・金融機関の三者が連携して実行する融資制度です。民間の融資と異なり、各機関が役割分担をすることで中小企業の資金調達を支援する仕組みになっています。

三者それぞれの役割は以下のとおりです。

自治体(都道府県・市区町村)は制度設計と利子補給・保証料補助を担当します。融資の原資を金融機関に預託するか、または金利差を補填する形で民間金融機関より低い金利を実現します。

信用保証協会は保証業務を担当します。企業が返済不能になった場合に金融機関へ代位弁済し、その後企業に対して求償します。保証があることで金融機関は中小企業へ融資しやすくなります。信用保証協会の保証制度の仕組みについては別記事で詳しく解説しています。

金融機関(銀行・信用金庫等)は実際の融資審査と実行を担当します。与信審査のうえで融資を実行し、返済管理を行います。

制度融資の「預託方式」と「補助方式」

自治体が金融機関に資金を預け入れてその分だけ金利を下げる「預託方式」と、市場金利で融資を受けた後に自治体が差額を補填する「補助方式(利子補給方式)」があります。近年は後者が増えていますが、どちらの方式でも利用者の実質負担は変わりません。

プロパー融資や公庫融資との違い

プロパー融資は保証協会を介さず銀行が自行のリスクで融資するため、財務内容が良好な企業には有利ですが、中小企業にとって審査ハードルが高くなる傾向があります。プロパー融資の条件とメリットは別記事を参照してください。

日本政策金融公庫の融資は国の政策金融機関による直接融資で、保証協会を介しません。制度融資とは別の枠組みで運用されており、両方を組み合わせて調達額を最大化することも可能です。

制度融資の特徴は、保証協会の保証枠を使いながら自治体の補助で実質コストを下げられる点にあります。保証枠の管理については銀行融資の基本と審査のポイントで解説しています。

利子補給の仕組みと計算例

利子補給とは、融資を受けた企業が金融機関に支払う利息の一部を自治体が補填する制度です。補給の方式は自治体によって異なりますが、大きく分けて2種類あります。

一つは「直接補給方式」で、企業が一定期間ごとに支払った利息の一部を、自治体が事後に企業へ返戻します。もう一つは「金利引き下げ方式」で、自治体の補給分を差し引いた実質金利を適用して融資が実行されます。

利子補給額の計算例

具体的に計算で確認します。

項目数値
融資額1,000万円
金融機関の適用金利年2.0%
自治体の利子補給率年1.0%
企業の実質負担金利年1.0%(2.0% - 1.0%)
年間の支払利息(実質)10万円
自治体が補給する金額(年間)10万円

融資残高が1,000万円のまま1年間推移した場合、金融機関へ支払う利息は20万円ですが、自治体から10万円の補給を受けるため企業の実質負担は10万円になります。

利子補給率が高いほど恩恵は大きく、補給率が金利と同水準であれば「実質無利子」に近い状態になります。コロナ禍の緊急対応として国が講じた実質無利子・無保証料融資はこの仕組みの極端な適用例でした。

利子補給の対象期間と上限

利子補給には期間上限が設けられているケースが多く、「融資実行日から3年間」や「5年間」といった形で補給対象期間が定められています。対象期間を過ぎると通常金利に戻るため、返済計画を立てる際は補給期間終了後の金利負担も想定しておく必要があります。

補給の上限額(総額)を設けている自治体もあります。申込み前に補給条件の全容を確認しておくことが大切です。

保証料補助の仕組み

信用保証協会の保証を利用する際、企業は保証料を支払います。保証料率は企業の信用力に応じて年0.45%から1.90%の9段階で設定されており、保証期間中の全額を前払いするのが一般的です。

保証料補助は、この保証料の一部または全額を自治体が負担する制度です。制度融資で自治体が保証料補助を実施している場合、企業の初期負担が大幅に軽減されます。

保証料補助の計算例

保証料の計算式は「保証金額 × 保証料率 × 保証期間(月数)/ 12」です。

項目数値
融資額(保証金額)1,000万円
保証料率年1.0%(信用力に応じて変動)
保証期間7年(84か月)
保証料総額70万円(1,000万円 × 1.0% × 7)
自治体の補助率1/2(50%)
企業の実質負担35万円

保証料補助が全額(100%)の場合、企業は保証料を一切負担せずに済みます。利子補給と保証料補助が両方適用される制度融資では、金利コストと保証コストの双方が抑えられるため、総合的な調達コストは民間融資と比べて大幅に低くなります。

保証料補助の受け取りタイミング

保証料補助の支払方法は自治体によって異なります。融資実行時に保証料全額を自治体が直接保証協会に支払う「直接支払い方式」と、企業がいったん支払い、後から補助金として返戻を受ける方式があります。手元資金への影響が違うため、申込み前に確認しておくと資金繰り計画が立てやすくなります。

主要自治体の制度比較

制度融資の内容は自治体ごとに異なります。以下は主要な都道府県の制度概要です。制度内容は年度ごとに改定されるため、申込みの際は各自治体の最新の要項を必ず確認してください。

東京都の制度融資

東京都中小企業制度融資は、東京信用保証協会・指定金融機関と連携して運用される制度です。融資メニューは「小口事業資金」「経営安定」「チャレンジ(創業)」「設備近代化資金」など複数の区分に分かれており、用途や企業規模に応じて選択できます。

都が信用保証料の一部を補助する制度があり、対象となる融資メニューでは保証料負担が軽減されます。金利は金融機関が設定しますが、制度融資向けに金利上限が設けられています。区市町村が独自に利子補給を行っているケースも多く、都の制度に区市町村の上乗せ補助が加わる構造になっています。

大阪府の制度融資

大阪府の制度融資(信用保証付き)は、中小企業の成長段階や課題に応じた複数のメニューで構成されています。開業・スタートアップ応援資金、小規模企業サポート資金、チャレンジ応援資金、経営安定サポート資金などが代表的な制度です。

市区町村が「開業・スタートアップ応援資金」に独自の利子補給・保証料補助を上乗せするケースがあります。設備投資応援融資では信用保証料の2分の1相当を府が補助する制度も設けられています(令和8年5月以降の申込み分)。

愛知県の制度融資

愛知県は中小企業向けに多様な融資メニューを用意しています。一般運転資金・設備資金から業種特化型の制度まで幅広く、利子補給や保証料補助の有無・内容はメニューによって異なります。

県の制度とは別に、名古屋市をはじめとする市区町村が独自の制度融資を設けているケースが多く、同じ事業者でも所在地の市区町村によって受けられる補助の内容が変わります。

市区町村レベルの制度

都道府県の制度に加えて、市区町村が独自の制度融資を設けているケースが全国各地にあります。特に小規模事業者向けには、融資限度額が少ない代わりに利子補給率が高い、あるいは保証料が全額補助される設計の制度もあります。

所在地の市区町村窓口や商工会議所・商工会に問い合わせることで、都道府県の制度と市区町村の制度を組み合わせた最適な調達プランを検討できます。

制度は年度ごとに改定される

利子補給率・保証料補助率・融資上限額などは年度改定で変わる可能性があります。前年度に聞いた条件が今年度も適用されるとは限りません。申込み前には必ず当該年度の制度要項を確認してください。

制度融資の申請手順

制度融資の申込みには、通常の銀行融資より多くの関係機関が関与するため、手続きの流れを事前に把握しておくことが重要です。

1

利用する制度の確認

事業所の所在地(都道府県・市区町村)の制度融資一覧を確認します。商工担当課のWebサイトや窓口で最新要項を入手してください。

2

事前相談

取引金融機関または自治体の中小企業支援センターに相談します。利用可能な制度の絞り込みと、必要書類の確認をこの段階で行います。

3

自治体窓口への申込みまたは認定取得

制度によっては、自治体の商工担当課への事前申込みや認定書の取得が必要な場合があります。手続きの有無と必要書類を確認してください。

4

金融機関への融資申込み

必要書類(決算書・試算表・事業計画書・納税証明書等)を揃え、金融機関に融資を申し込みます。金融機関が信用保証協会に保証申込みを行います。

5

金融機関・保証協会の審査

金融機関の与信審査と保証協会の保証審査が行われます。制度融資だからといって審査が省略されるわけではなく、通常の審査基準が適用されます。

6

融資実行・利子補給の手続き

審査通過後、融資が実行されます。利子補給の手続きが別途必要な自治体では、定期的に申請書を提出して補給金を受け取ります。

申請に必要な書類

以下が一般的に必要となる書類です。制度・自治体によって異なるため、事前に窓口で確認してください。

直近2〜3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書・勘定科目明細)、直近の試算表(決算から6か月以上経過している場合)、資金繰り表、納税証明書(法人税・消費税・地方税)、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、事業計画書(資金使途・返済計画を含む)、自治体の申込書(所定書式)が基本セットです。

審査で注意すべきポイント

制度融資は「通りやすい」という印象を持たれることがありますが、金融機関・保証協会ともに通常の審査基準を適用します。税金の滞納がある場合は保証協会の審査で否決になるケースが多く、申込み前に納税状況を確認することが不可欠です。

また、融資申込みから実行まで1〜2か月程度かかることが多いため、資金が必要になる時期から逆算して早めに動き出すことが大切です。資金繰りが逼迫してからの申込みでは、審査期間中に手元資金が底をつくリスクがあります。

まとめ

要点

  • 制度融資は自治体・信用保証協会・金融機関の三者スキームで運用され、利子補給と保証料補助によって実質的な調達コストが下がる
  • 利子補給率・保証料補助率・補給期間は自治体・制度ごとに異なり、都道府県と市区町村の制度を組み合わせると補助の恩恵が大きくなるケースがある
  • 審査は通常の保証付き融資と同じ基準で行われるため、税金の滞納解消と財務書類の整備を事前に済ませておくことが申込みの前提条件になる

制度融資の活用方法や自社に適した調達手段の選び方について、専門家への相談をご希望の場合は無料相談からお問い合わせください。

よくある質問

Q. 利子補給と保証料補助は何が違うのですか?
A. 利子補給は融資の利息の一部を自治体が負担する制度で、保証料補助は信用保証協会に支払う保証料の一部または全額を自治体が負担する制度です。両方が適用される制度融資では、実質的な借入コストを大幅に抑えられます。
Q. 利子補給の金額はどうやって計算しますか?
A. 利子補給額の計算式は「融資残高 × 利子補給率 × 経過日数 / 365」が基本です。たとえば1,000万円を借り入れ、利子補給率が年1.0%の場合、1年間の補給額は10万円になります。補給方法は自治体によって異なり、事後に一括返戻する方式と、適用金利から差し引く方式があります。
Q. 制度融資は全国どこでも同じ条件ですか?
A. 異なります。制度融資の内容(融資上限額、金利、利子補給率、保証料補助の有無・補助率)は各都道府県・市区町村が独自に設定しています。同じ地域内でも、都道府県と市区町村で別々の制度が設けられており、条件が異なります。事業所が所在する自治体の商工担当窓口や中小企業支援センターで確認してください。
Q. 制度融資を申し込むにはどこに相談すればよいですか?
A. まず取引している金融機関(銀行・信用金庫等)に相談するのが一般的な入口です。金融機関が利用可能な制度を案内し、保証協会への申込みを代行してくれます。自治体の商工担当課や商工会議所・商工会に相談する方法もあります。都道府県の中小企業支援センターでは制度の選び方から申込書類の整備まで無料で支援しています。
Q. 利子補給を受けると確定申告で課税されますか?
A. 法人が受け取る利子補給金は原則として法人税の課税対象(益金)になります。個人事業主の場合は事業所得の収入に計上します。ただし、補給の方式(直接交付か金利引き下げかで処理が異なる場合がある)や自治体ごとの制度設計によって会計・税務上の取り扱いが変わる可能性があるため、顧問税理士に確認することをお勧めします。

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