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借り換えで金利は下がる

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メインバンクの変更・借り換えガイド

メインバンクの変更や融資の借り換えを検討している中小企業向けに、手順・判断基準・注意点を解説。金融機関との関係悪化を避けながら、有利な融資条件を実現する方法を紹介します。

メインバンクの変更や融資の借り換えは、中小企業の資金調達コストを改善するための有効な手段です。しかし、金融機関との関係は長期的なパートナーシップであり、安易な変更はかえって融資環境を悪化させるリスクもあります。

本記事では、メインバンクの変更・借り換えを検討する際の判断基準、具体的な手順、既存の金融機関との関係を損なわないための注意点を解説します。

メインバンク変更を検討すべきタイミング

変更を検討する合理的な理由

メインバンクの変更には相応の理由が必要です。感情的な不満だけで変更すると、新たな金融機関との関係構築に時間とコストを要するだけで、結果的に融資条件が悪化する可能性があります。

合理的な変更理由として、金利水準が市場水準より明らかに高い(複数行から見積もりを取得して比較)、担保・保証の要求が過剰(業績が改善しているにもかかわらず条件が緩和されない)、融資姿勢が消極的(増額や新規融資の相談に応じてもらえない)、銀行の経営方針の変更(支店の統廃合、中小企業向け融資の縮小)、事業拡大に伴う資金需要の増加に対応できないなどが挙げられます。

業績悪化時のメインバンク変更はリスクが高い

業績が一時的に悪化している時期は、新規の金融機関から良い条件を引き出すことが難しく、既存メインバンクの支援が必要になる場面です。過去に融資を継続してくれた実績がある場合、その信頼関係は金利差以上の価値があります。

変更しない方がよいケース

逆に、メインバンクの変更を急ぐべきでないケースもあります。業績が一時的に悪化している時期は、新規の金融機関から良い条件を引き出すことが難しく、既存のメインバンクの支援が必要になる場面です。

また、既存のメインバンクとの取引期間が長く、過去に業績悪化時にも融資を継続してくれた実績がある場合、その信頼関係は金利差以上の価値があります。

借り換えの判断基準

金利差による判断

借り換えの最も明確な判断基準は金利差です。ただし、金利だけでなく総支払額で比較する必要があります。借り換えに伴う諸費用(事務手数料、抵当権設定費用、登記費用、期限前弁済手数料など)を含めた総コストで比較し、借り換えによるメリットが費用を上回ることを確認します。

返済条件の改善

金利以外にも、返済期間の延長や元金据置期間の設定など、返済条件の改善が借り換えの動機になることがあります。キャッシュフローの改善を目的とした借り換えは、特に季節変動が大きい事業や設備投資直後の企業にとって有効です。

メインバンク変更の手順

ステップ1:現状の融資条件の整理

まず、現在の全融資について条件を一覧表にまとめます。融資先金融機関、融資残高、金利、返済期間、月額返済額、担保・保証の内容、信用保証協会の保証の有無を整理します。

ステップ2:新候補先への相談

新たなメインバンク候補となる金融機関に相談を行います。地方銀行、信用金庫、政府系金融機関など、複数の金融機関に同時に打診することで、最も有利な条件を引き出せます。

相談時には、決算書(直近3期分)、事業計画書、資金繰り表、既存融資の条件表を持参します。借り換えの目的(金利の改善、返済条件の見直しなど)を明確に伝えることが重要です。

ステップ3:条件の比較と交渉

新候補先からの融資提案を受けたら、既存の条件と比較します。この段階で、既存のメインバンクに「他行から提案を受けている」ことを伝え、条件の見直しを交渉する手もあります。既存行が条件を改善してくれれば、メインバンクの変更をせずに済み、長年の関係も維持できます。

ステップ4:借り換えの実行

新たな金融機関での融資が正式に承認されたら、既存融資の期限前弁済と新規融資の実行を同日に行います。信用保証協会の保証付き融資がある場合は、保証の付け替え手続きが必要です。中小企業信用保険法および信用保証協会法に基づく手続きとなるため、事前に保証協会と協議してください。

ステップ5:既存行への対応

既存のメインバンクに対しては、誠意をもって変更の理由を説明します。完全に取引を解消するのではなく、サブバンクとして関係を継続するのが一般的です。将来的に資金需要が増加した際の選択肢を残しておくことは、リスク管理の観点からも重要です。

借り換え時の注意点

信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証付き融資を借り換える場合、保証協会の承認が必要です。保証付き融資から保証付き融資への借り換え(借換保証制度)は制度として存在しますが、保証料の再計算や追加の審査が発生します。

担保の付け替え

不動産担保付きの融資を借り換える場合、既存の抵当権を抹消し、新たな金融機関のために抵当権を設定する手続きが必要です。登記費用(登録免許税、司法書士報酬)が発生するため、コスト計算に含める必要があります。

借り換え前にまず既存行に条件改善を交渉する

他行からの融資提案を得た段階で既存のメインバンクに条件見直しを交渉すると、借り換えをせずに金利引き下げが実現できる場合があります。長年の関係を維持しつつ条件を改善できる方法です。

経営者保証の取り扱い

経営者保証ガイドライン(全国銀行協会・日本商工会議所策定)では、一定の条件を満たす企業について経営者保証を不要とする方向性が示されています。借り換えのタイミングは、経営者保証の解除を交渉する好機でもあります。法人と個人の資産が明確に分離されている、財務基盤が安定しているなどの条件を満たす場合は、積極的に交渉してみましょう。

まとめ

この記事のポイント

  • 借り換えは金利差だけでなく、諸費用(手数料・登記費用・違約金)を含めた総コストで判断する
  • まず既存行に条件改善を交渉し、改善が見込めない場合に借り換えを検討する
  • 完全に取引を解消せず、サブバンクとして関係を継続するのがリスク管理上有効

借り換えの判断にはBSの健全性が重要です。BSの読み方と改善ポイントを確認し、資金繰り表の作り方で返済計画の精度を高めておきましょう。

メインバンクの変更や融資条件の見直しに関するご相談は、無料相談からお問い合わせください。

よくある質問

Q. メインバンクを変更すると融資に悪影響がありますか?
A. 適切な手順を踏めば、融資に悪影響を及ぼすことなくメインバンクを変更できます。ただし、既存のメインバンクとの関係が悪化するリスクはあります。特に信用保証協会の保証付き融資がある場合、保証の付け替えが必要になるため、事前に保証協会への相談も行ってください。
Q. 借り換えのメリットとデメリットは何ですか?
A. メリットは金利負担の軽減、返済条件の改善(返済期間の延長など)、取引金融機関の分散によるリスク軽減です。デメリットとしては、元の金融機関との関係悪化、違約金(期限前弁済手数料)の発生、新たな担保・保証の要求、審査に時間がかかる場合がある点が挙げられます。
Q. 借り換え時に違約金は発生しますか?
A. 固定金利の融資を期限前に全額返済する場合、違約金(期限前弁済手数料)が発生するケースがあります。金銭消費貸借契約書の条項を確認してください。変動金利の場合は違約金が発生しないことが一般的です。日本政策金融公庫の融資についても、期限前弁済手数料が設定されている場合があります。
Q. メインバンク変更後、既存の金融機関との関係はどうすべきですか?
A. 完全に取引を解消するのではなく、サブバンクとして関係を継続するのが一般的です。預金口座の維持や少額の融資取引を残しておくことで、将来的に資金需要が増加した際の選択肢を確保できます。変更の理由は誠意をもって説明し、関係の悪化を最小限に抑えることが重要です。

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