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中間申告は方法選択で資金繰りが変わる

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法人税の中間申告の計算方法|前年実績法と仮決算法の選び方【2026年版】

法人税の中間申告で選択できる前年実績法と仮決算法の計算方法を解説。どちらを選ぶと有利か、申告義務の判定基準(前事業年度の確定法人税額20万円超)、納期限と納付額の調整、見落としやすい消費税の中間申告との関係まで2026年版で整理しました。

法人税の中間申告は、多くの中小企業が事業年度の途中で行う「予定納税」のような手続きです。前事業年度の法人税額が一定以上の法人に課される義務で、計算方法の選択によって納付額と事務負担が変わります。

実務上の論点は2つ。第一に「前年実績法」と「仮決算法」のどちらを選ぶか。第二に、業績変動がある期にどちらが資金繰り上有利か。本記事は2026年版の中間申告の計算方法と判断軸を実務視点で整理します。法人税全体の計算方法は法人税の計算シミュレーションを参照してください。

中間申告の対象法人と義務発生条件

最初に、自社が中間申告義務の対象かを判定します。

義務発生の基準額:前期確定法人税額20万円超

法人税法第71条は、前事業年度の確定法人税額が20万円を超える場合に中間申告義務を課しています。20万円という基準は、年税額換算で見ると課税所得約87万円相当(軽減税率15%適用前提)です。

前期の確定法人税額中間申告義務
20万円超あり
20万円以下なし
設立第1期なし
前期が赤字で法人税額0円なし

中小企業の規模感では、課税所得が年100万円を超え始めると中間申告の対象になるイメージです。設立2期目以降で黒字運営が続くと、ほとんどの法人が義務対象になります。

申告期限と納付期限

中間申告書の提出期限と納付期限はどちらも「事業年度開始日から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内」です。3月決算法人の場合、9月末(中間決算日)から2ヶ月以内の11月30日が期限になります。

期限を過ぎると延滞税が日々加算されます。延滞税の計算方法は延滞税・加算税の計算方法で詳しく解説しています。

前年実績法と仮決算法の計算方法

中間申告の計算方法は2つから選択できます。それぞれの計算式と必要書類が異なります。

前年実績法の計算

前年実績法は、前事業年度の確定法人税額をそのまま2分の1にする最もシンプルな方法です。

計算式: 中間申告税額 = 前事業年度の確定法人税額 × 6 ÷ 前事業年度の月数

12ヶ月決算の標準的なケースでは、確定法人税額の半分(×6/12 = ×0.5)が中間納付額になります。

たとえば、前期の確定法人税額が400万円だった3月決算の法人は、9月末の中間期で200万円を納付します。計算は単純で、必要書類も少ないため、業績が前期と大差ない場合の選択肢として最も使われます。

仮決算法の計算

仮決算法は、事業年度開始日から6ヶ月の中間期について実際に決算を組み、その期間の所得に対する法人税額を計算して中間納付額とする方法です。

計算式: 中間申告税額 = 中間期間(6ヶ月)の所得 × 法人税率 - 中間期間の控除額

実質的に「半期決算」を行うため、貸借対照表・損益計算書・個別注記表を作成し、6ヶ月分の決算書類を中間申告書に添付します。

仮決算法を採用すると、当期の業績悪化を中間納付額に反映できるため、業績が大きく落ち込んでいる期には資金繰り上のメリットがあります。

選択の有利不利——3パターンの比較

業績パターン別にどちらが有利かを整理します。

当期の業績前年実績法仮決算法推奨
前期と同程度200万円(前期×1/2)概ね200万円前後前年実績法(手間が少ない)
前期より大幅減益(半分以下)200万円(前期×1/2)100万円前後仮決算法(資金繰り改善)
前期より大幅増益200万円(前期×1/2)300万円前後前年実績法(中間納付を抑える)

「業績が下がっている期は仮決算法」「横ばい〜上昇している期は前年実績法」が基本セオリーです。

仮決算法を選ぶ判断フロー

仮決算法は事務負担が大きいため、選択する価値があるかを以下のステップで判定します。

1

中間期の業績見込みは前期同期比で何%減か

前期同期比50%減以上であれば仮決算法の検討価値が高い。25%減程度では事務負担と削減額のバランスが微妙。

2

中間期で実際の決算が組める体制か

中間期末(決算月から6ヶ月後)の翌月末までに月次試算表が確定する経理体制が必要。月次決算が遅れている法人は時間切れで前年実績法を選ばざるを得ない。

3

前年実績法と仮決算法の試算で差額はいくらか

差額が50万円以上なら仮決算法の事務コスト(顧問税理士への追加報酬5〜10万円)を上回るメリットがある。差額が10万円以下なら前年実績法のほうが結果的に得。

4

仮決算法を選んだ場合の翌期確定申告への影響

仮決算法で計算した中間納付額が、当期確定申告で精算される。中間で過少納付なら確定で追加納付、過大納付なら還付。仮決算で実態を反映できれば確定申告時の調整幅が小さくなる。

4ステップの判定で「仮決算法のほうが有利」と判断できれば、税理士と協議して実行します。

仮決算法を選ぶ場合の決算書作成コスト

仮決算法は中間期の貸借対照表・損益計算書を会社法上の正式な決算書類として作成する必要があります。顧問税理士との契約が「年1回の確定申告のみ」の場合、別途5〜10万円の追加報酬が発生することが一般的です。差額メリットと事務コストを天秤にかけてください。

中間申告書を提出しなかった場合の取扱い

中間申告書を提出期限までに出さなかった場合、法人税法第73条により「前年実績法による中間申告書が提出されたものとみなす(みなし申告)」が適用されます。

つまり、申告書を出さなくても前年実績法に基づく中間納付義務は自動的に発生します。納付期限までに納付しなければ延滞税が日々加算され、督促状が届きます。「申告書を出さなければ義務を回避できる」という考え方は通用しません。

仮決算法を選びたい場合は、必ず期限内に申告書を提出する必要があります。期限を過ぎてからの仮決算法選択はできず、みなし申告(=前年実績法)が確定するため、注意が必要です。

中間申告と確定申告の精算プロセス

中間申告で納付した税額は、確定申告で精算されます。仕組みを把握しておくと、中間申告の選択判断がしやすくなります。

確定申告書での処理

確定申告書には「中間納付額」を記入する欄があります。年税額から中間納付額を差し引き、差額が確定納付額(または還付額)になります。

例:当期の確定法人税額が350万円、中間納付額が200万円のケース

  • 確定納付額 = 350万円 - 200万円 = 150万円(確定申告期限までに追加納付)

例:当期の確定法人税額が150万円、中間納付額が200万円のケース

  • 還付額 = 200万円 - 150万円 = 50万円(確定申告後に還付)

中間で多く納めても損にはならず、確定で精算されるのが基本構造です。仮決算法を選ぶ意義は「年間で見た税額」ではなく「中間期での資金流出を抑える」点にあります。

利子税・還付加算金

中間納付が確定額より多かった場合、還付額には還付加算金(利息相当)が加算されます。2025年(令和7年)の還付加算金率は年0.9%です。

逆に、中間納付が確定額より少なく、確定申告で追加納付した場合は、本来の中間期分について利子税が加算されます。利子税率は年4.8%(軽減特例あり)で、不足納付額に応じて発生します。

よくある中間申告の実務ミス

実務で見られる典型的なミスを5つ整理します。事前に把握しておくと回避しやすくなります。

ミス1:地方法人税の中間申告を忘れる

法人税の中間申告対象になると、地方法人税も同時に中間申告が必要になります(地方法人税法第16条)。地方法人税は法人税額×10.3%で計算する付加税で、申告書も法人税中間申告書と同じ様式です。法人税のみ申告して地方法人税を漏らすと、後日是正対応が必要になります。

ミス2:法人事業税・法人住民税の中間申告と混同する

法人事業税・法人住民税の中間申告(中間予定申告)は地方税で、各都道府県・市区町村に提出します。法人税の中間申告(国税)とは別の手続きで、申告書の様式・提出先が異なります。地方税側にも前期実績による予定納税通知書が届くため、その期限を漏らさないよう注意します。

ミス3:仮決算法を選ぶ判断が遅れる

仮決算法を選ぶには中間期末から2ヶ月以内に決算書類を作成し申告書を提出する必要があります。中間期末月内に方針を決めないと、月次決算の確定→決算整理→税理士チェック→申告書作成のプロセスが間に合わず、結果として前年実績法(みなし申告)になってしまいます。「仮決算法でいくか」の判断は中間期末月内に済ませるのが実務的です。

ミス4:中間納付額を経費計上してしまう

中間納付額は法人税の前払いであり、損金算入できません(法人税法第38条)。仕訳上は「仮払法人税等」または「未収法人税等」として計上し、確定申告で「法人税等」と相殺します。誤って「租税公課」で損金処理すると、確定申告で当期利益が過小計上され、修正申告が必要になります。

ミス5:還付加算金の利息計算を間違える

中間納付が過大だった場合の還付加算金は、納付日の翌日から還付の支払決定日までの期間で日割計算されます。2026年現在の還付加算金率は年0.9%。仮決算法の判断時に「還付加算金がもらえる」と期待しすぎると、実額の少なさに後で驚くことがあります。

消費税の中間申告との違い

法人税の中間申告と消費税の中間申告は別の制度です。混同して両方を同じ判断で進めると、片方の手続きを誤ることがあります。

項目法人税の中間申告消費税の中間申告
義務発生基準前期確定税額20万円超前期確定税額48万円超(年1回)/400万円超(年3回)/4,800万円超(年11回)
申告回数原則年1回税額により1〜11回
計算方法前年実績法 / 仮決算法前年実績法 / 仮決算法
根拠条文法人税法第71条消費税法第42条

消費税は税額規模により申告回数が増えるのが特徴です。年商が大きい法人は法人税1回・消費税3〜11回の中間申告を並行して進める必要があり、事務負担が重くなります。両方の申告期限を税理士と共有して年間スケジュールを組むのが推奨です。

まとめ

この記事のポイント

  • 法人税の中間申告は前期確定税額20万円超の法人に義務、提出期限は事業年度開始から8ヶ月以内
  • 計算方法は前年実績法(前期×1/2)と仮決算法(中間期で実決算)の2択
  • 業績が前期同期比50%減以上なら仮決算法、それ以外は前年実績法が基本
  • 提出しなくても前年実績法による「みなし申告」になるため申告書未提出での回避は不可
  • 確定申告で精算されるため中間で多く納めても損にはならない(資金繰りの問題のみ)
  • 消費税の中間申告は別制度。基準額・回数が異なる

中間申告は「方法選択で資金流出のタイミングが変わる」手続きです。業績悪化期に仮決算法を選べば中間納付を抑えられ、その分を運転資金に回せます。逆に業績好調期は前年実績法のほうが結果的に有利です。

判断に迷う場合は、中間期末の試算表が出た段階で税理士と前年実績法・仮決算法の試算を並べ、差額と事務コストを比べるのが実務的な進め方です。法人税の年間税額の計算は法人税の計算シミュレーション、過大納付に気づいた場合の取戻しは確定申告のやり直し方法と期限もあわせて確認してください。

よくある質問

Q. 法人税の中間申告はすべての法人に必要ですか?
A. 前事業年度の確定法人税額が20万円を超えた場合に必要です(法人税法第71条)。20万円以下の場合は中間申告義務はありません。設立第1期の法人や、前期が赤字で法人税額が20万円以下だった法人は対象外になります。
Q. 前年実績法と仮決算法はどちらが有利ですか?
A. 原則は「業績が下がっている期は仮決算法、横ばい〜上昇している期は前年実績法」です。仮決算法を選ぶと中間期末で実際に決算を組む必要があり手間がかかりますが、当期の利益が前期より大きく落ち込んでいる場合は納付額を実態に合わせて減らせるメリットがあります。事務負担と納付額削減のバランスで選択してください。
Q. 中間申告書を提出しないとどうなりますか?
A. 提出しなかった場合は前年実績法による中間申告書が提出されたものとみなされます(みなし申告、法人税法第73条)。納付期限までに納付しない場合は延滞税が課され、督促状が届きます。納付すべき税額が確定するため「申告書を出さなければ良い」という回避はできません。
Q. 中間申告で納め過ぎた場合はどうなりますか?
A. 確定申告で精算されます。中間申告で納付した税額は確定申告書の「中間納付額」欄に記入し、年税額から差し引きます。差額がプラス(追加納付)なら確定申告期限までに納付、マイナス(還付)なら還付されます。中間で納め過ぎても損にはなりません。
Q. 消費税の中間申告と法人税の中間申告は別物ですか?
A. 別の手続きです。法人税の中間申告は法人税法に基づき、消費税の中間申告は消費税法に基づきます。それぞれ申告義務の判定基準も納付期限も異なります。法人税の中間申告で「前年実績法」を選んでも、消費税の中間申告は別途の判断が必要です。

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