追徴額を自分で計算できる
延滞税・加算税の計算方法【2026年最新】無申告加算税・重加算税を含む税率一覧と4パターンシミュレーション
2026年(令和8年)の延滞税の割合(年2.8%・年9.1%)と加算税の基本税率(過少申告10〜15%・無申告15〜30%・重加算税35〜40%)を一覧化。4パターンの追徴シミュレーションで自社の負担額がすぐ計算でき、自主修正で加算税が免除される条件も解説します。
税務調査で申告内容の誤りが指摘され、追加で納める本税が生じると、原則として延滞税や加算税も課されます。追徴税額がどの程度になるかは、申告漏れの金額だけでなく、ペナルティの種類と計算方法によっても大きく変わります。
本記事では、延滞税と加算税それぞれの計算方法を、2026年(令和8年)の最新税率と具体的な計算例をまじえて詳しく解説します。
加算税の種類と税率
税務調査で主に問題になる加算税は、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税の3つです。このほか、源泉所得税を法定納期限までに納めなかった場合は不納付加算税(原則10%、国税通則法第67条)がかかります。
過少申告加算税
申告書を提出したものの、税額が過少だった場合に課されます。税率は追加で納める税額(増差税額)に対して原則10%です。ただし、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については15%に上がります(国税通則法第65条第1項・第2項)。
なお、調査による更正を予知してされたものでなく、かつ調査通知の前に修正申告した場合は、過少申告加算税は課されません(同法第65条第6項)。
ここでいう調査通知は、日時や場所なども含む実地調査の事前通知全体ではなく、そのうち調査の対象となる税目と期間などの通知を指します(同項・同法第74条の9第1項第4号・第5号)。
調査通知の後でも、調査による更正を予知してされたものでない修正申告であれば5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%)に軽減されます(同条第1項・第2項)。帳簿の不提示等による上乗せ(後述)の対象になる場合は、これらの割合に加算されます。
この段階的な税率設定は、自主的な修正申告を促す政策的な意図に基づいています。調査通知を受けた時点で速やかに申告内容を見直し、調査による更正を予知する前に修正申告を行うことが、過少申告加算税の軽減につながります。
無申告加算税
申告期限までに申告書を提出しなかった場合に課されます。税率は納付すべき税額に対して原則15%、50万円を超え300万円以下の部分は20%、300万円を超える部分は30%です(国税通則法第66条第1項〜第3項)。
300万円を超える部分の30%は令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものが対象で、それより前の分は50万円を超える部分が一律20%です(国税庁 タックスアンサーNo.2024)。
調査通知の後でも、調査による決定を予知してされたものでない期限後申告であれば、それぞれ5ポイント低い割合になります(同条第1項〜第3項)。調査による決定を予知してされたものでなく、かつ調査通知の前に行われた期限後申告であれば5%です(同条第8項)。
無申告のペナルティは過少申告と比べて重い設定になっています。
確定申告を失念していた場合や、事業を開始したばかりで申告義務を認識していなかった場合でも、無申告加算税は原則として課されます(法定申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告し、期限内に申告する意思があったと認められる場合など、一定の要件を満たすときを除く)。そのため、申告期限の管理は経理業務の最重要事項のひとつです。
さらに、次のいずれかにあてはまる場合は、無申告加算税の割合が10%上乗せされます(国税通則法第66条第6項)。
- 調査による決定等を予知してされた期限後申告等、または更正・決定があった日の前日から5年前の日までの間に、同じ税目で無申告加算税(調査を予知しないでされた期限後申告等に課されたものを除く)または重加算税を課されたことがある
- その国税の課税期間の初日が属する年の前年と前々年に課税期間が始まった同じ税目の国税について、無申告加算税(調査通知前の自主的な期限後申告等に課された5%のものを除く)または無申告に係る重加算税を課されたことがあるか、課されるべきと認められる(今回の期限後申告等が、調査を予知せず調査通知の前に行われたものである場合を除く)。令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税が対象
繰り返しの無申告に対するペナルティは年々厳しくなっている傾向があります。無申告加算税の税率体系を期限後申告のタイミング別に整理した記事は無申告加算税の税率と計算方法を参照してください。
重加算税
仮装・隠蔽(売上の除外、架空経費の計上、帳簿の改ざんなど)が認められた場合に課されます。過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%、不納付加算税に代えて35%の税率が適用されます(国税通則法第68条第1項〜第3項)。
ただし、調査による更正や決定を予知しないで提出した修正申告書・期限後申告書は、重加算税の対象から除かれます(同条第1項・第2項)。
過去5年以内に同じ税目で無申告加算税(調査を予知した期限後申告等に課されたもの)や重加算税を課されたことがある場合などは、さらに10%上乗せされます(同条第4項)。重加算税が課される要件と対処法については別記事で詳しく解説しています。
重加算税は損金にならない
加算税・延滞税はいずれも法人税法第55条第4項第1号により損金不算入です。損金算入による法人税の軽減がないため、支払った金額をそのまま負担することになります。特に重加算税は税率が高く、負担が大きくなります。
帳簿を出さない・記載が足りない場合の上乗せ
令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告所得税・法人税(地方法人税を含む)・消費税では、税務調査で売上げに関する帳簿の提示や提出を求められたときの状況によって、過少申告加算税と無申告加算税の割合が上乗せされます(国税通則法第65条第4項・第66条第5項)。
法人税では、令和5年10月決算期分(3月決算法人なら令和6年3月決算期分)から対象です。
| 調査で帳簿を求められたときの状況 | 上乗せされる割合 |
|---|---|
| 帳簿を提示・提出しなかった | 10% |
| 帳簿に記載された売上金額が、本来記載すべき金額の2分の1未満だった | 10% |
| 帳簿に記載された売上金額が、本来記載すべき金額の3分の2未満だった(2分の1未満を除く) | 5% |
上乗せされるのは、帳簿に本来記載すべき事項に関する申告漏れに対する加算税の割合で、本税の税率が上がるわけではありません。
対象となる帳簿は財務省令で定めるもので、修正申告等(無申告加算税では期限後申告等)の前に税務職員から提示・提出を求められた場合に限られます。重加算税と不納付加算税は対象外で、納税者の責めに帰すべき事由がない場合も除かれます。
また、税務調査を受ける前に自分で誤りに気づいて期限後申告をした場合は、帳簿の提示を求められていないため適用されません(国税庁「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」)。日頃から売上げを帳簿に漏れなく記載しておくこと自体が、調査時の加算税を抑える備えになります。
延滞税の計算方法
延滞税がかかる場面
延滞税は、税務調査で修正申告をした場合に限らず、次のいずれかにあてはまるとかかります(国税通則法第60条第1項)。
- 期限内に申告したが、法定納期限までに納め切れなかった
- 期限後申告や修正申告をした、または更正・決定を受けて、納める税額が生じた
- 納税の告知を受けた税額(源泉所得税等、不納付加算税、重加算税、過怠税を除く)を、法定納期限より後に納めた
- 予定納税の所得税を、法定納期限までに納め切れなかった
- 源泉所得税等を、法定納期限までに納め切れなかった
税務調査を受けて法人税などの修正申告や更正で追加の納税が生じる場合は2つ目の場面に、源泉所得税の徴収漏れを指摘された場合は5つ目の場面にあたります。なお、延滞税は本税だけにかかり、加算税にはかかりません(国税庁 タックスアンサーNo.9205)。
法律上、延滞税は計算の基礎となる本税とあわせて納付するものとされています(同条第3項)。本税だけを先に納めても納付日までの延滞税は残るため、資金の手当ては延滞税の見込み額まで含めて考えてください。
延滞税率(2026年・令和8年)
延滞税は、法定納期限の翌日から実際に納付した日までの日数に応じて計算されます。割合は2段階で、「納期限までの期間」と「納期限の翌日から2か月を経過する日まで」は低い割合、それ以後は高い割合です(国税通則法第60条第2項)。
ここでいう納期限は、申告のしかたによって違います(国税庁 タックスアンサーNo.9205)。
- 期限内に申告した場合: 法定納期限
- 期限後申告・修正申告の場合: 申告書を提出した日(同法第35条第2項)
- 更正・決定の場合: 更正通知書・決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1か月を経過する日
税務調査を受けて修正申告し、提出した日に納付すれば、延滞税の計算期間には低い方の割合が適用されます。後述の計算期間の特例で除かれる期間は、そもそも計算に含めません。高い割合がかかるのは、修正申告書を提出してから2か月を過ぎても納めていない期間です。
法律上の原則は、低い方が年7.3%、高い方が年14.6%です。ただし実際には特例により低い割合が適用されており、国税庁が毎年公表しています。原則の数字だけを見て負担額を見誤らないよう、適用年の割合で計算してください。
| 期間 | 納期限まで・納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 |
|---|---|---|
| 令和4年〜令和7年(2022〜2025年) | 年2.4% | 年8.7% |
| 令和8年(2026年) | 年2.8% | 年9.1% |
低い方の割合は「延滞税特例基準割合+1%」、高い方の割合は「延滞税特例基準割合+7.3%」です(いずれも原則の割合が上限)。令和8年は市場金利の上昇を受けて前年より0.4ポイント上がりました。
割合の算定の基礎となる平均貸付割合は前年11月30日までに告示され、それに基づく割合が各年の1月1日から適用されるため、年をまたぐ場合はそれぞれの期間に適用される税率で計算する必要があります。
延滞税率は市場金利の動向を反映するため、過去の税率がそのまま将来に適用されるとは限りません。修正申告を検討しているなら、早期の対応が有利になります。
計算式
延滞税の計算式を以下に示します。
延滞税 = 追加税額 × 年率 × 日数 / 365
計算期間は法定納期限の翌日を起算日として、実際に納付した日までの日数を用います。
たとえば、期限内に申告した法人税200万円を、法定納期限の翌日から90日目に納付した場合(納期限は法定納期限。2か月を61日とした概算)の延滞税は以下のように計算されます。
納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間(61日): 200万円 × 2.8% × 61/365 = 約9,358.9円
それ以後の期間(29日): 200万円 × 9.1% × 29/365 = 約14,460.3円
合計: 約23,819円(合計額の100円未満を切り捨てて23,800円)
なお、延滞税の計算における「追加税額」は1万円未満の端数を切り捨てます。
たとえば追加税額が2,009,500円であれば、2,000,000円を基に計算します。延滞税の確定額にも100円未満の端数切捨てが適用されます(国税通則法第118条第3項・第119条第4項)。また、延滞税の全額が1,000円未満、加算税の全額が5,000円未満のときは課されません(同法第119条第4項)。
早見表: 期限内に申告した税額を納め遅れた場合(令和8年の割合)
期限内に申告した本税を法定納期限までに納めなかった場合について、本税の額と、法定納期限の翌日から納付日までの日数ごとに延滞税の概算をまとめました。
納期限は法定納期限で、全期間に令和8年の割合(2か月を経過する日までは年2.8%、それ以後は年9.1%)が適用され、2か月を61日とした場合の計算です。本税の1万円未満と延滞税の100円未満は切り捨て、延滞税が1,000円未満になる欄は0円としています。
| 本税 | 61日 | 183日 | 365日 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 0円 | 3,500円 | 8,000円 |
| 50万円 | 2,300円 | 17,500円 | 40,200円 |
| 100万円 | 4,600円 | 35,000円 | 80,400円 |
| 300万円 | 14,000円 | 105,200円 | 241,400円 |
| 500万円 | 23,300円 | 175,400円 | 402,300円 |
2か月を経過すると割合が年2.8%から年9.1%に上がるため、同じ本税でも61日を過ぎてから金額の増え方が大きくなります。
税務調査後の修正申告には、この表をそのまま使えません。修正申告では提出日が納期限になるため、たとえば本税100万円の修正申告書を法定納期限の翌日から183日目に提出し同日に納付した場合、延滞税は100万円 × 2.8% × 183/365 = 14,038円で、100円未満を切り捨てて14,000円です(表の183日の欄は35,000円)。期間が年をまたいで割合が変わる場合や、下で説明する計算期間の特例にあてはまる場合も金額が変わります。国税庁の延滞税の計算ツールは所得税と個人事業者の消費税・地方消費税を対象とし、申告の区分にも制限があるため、法人税は国税庁の「延滞税の計算方法」に沿って試算するか、税理士や所轄の税務署に確認してください。
法人住民税・事業税への影響
法人税の修正申告で、法人住民税(都道府県民税・市町村民税)や法人事業税の課税標準・税額も増える場合は、それらの修正申告も必要になります。
法人住民税の法人税割は法人税額を、法人事業税の所得割は所得をもとに計算されるため、法人税の追徴に連動して地方税も増えることが多くあります。修正の内容によっては地方税の額が変わらない場合もあるので、税目ごとの影響を確認したうえで、地方税を含めた総負担額を資金計画に入れてください。
延滞税の免除特例
期限内申告書を提出していた場合に、法定申告期限から1年を経過する日の後に修正申告書を提出し、または更正を受けたときは、法定申告期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書の提出日(更正の場合は更正通知書が発せられた日)までの期間は、延滞税の計算期間に含めません(国税通則法第61条第1項)。
ただし、偽りその他不正の行為により税額を免れた納税者が、調査による更正を予知して提出した修正申告書や、その納税者に対する更正には、この特例は適用されません。重加算税が課される仮装・隠蔽が認定されるようなケースでは、延滞税の計算期間も長くなると考えておく必要があります。
修正申告のタイミング別ペナルティ比較
修正申告をいつ行うかで、加算税の税率が大きく変わります。本税100万円の追徴を例に比較します。期限内申告税額が100万円以上の法人で、法定納期限の翌日から183日目に修正申告書を提出し、同日に納付する前提です。全期間が令和8年中で、帳簿の不提示等や過去の賦課歴による加算税の上乗せはないものとします。
| 修正申告のタイミング | 過少申告加算税率 | 加算税額 | 延滞税 | 追徴合計 |
|---|---|---|---|---|
| 調査通知の前に修正申告(更正の予知なし) | 0%(課されない) | 0円 | 約1.4万円 | 約101.4万円 |
| 調査通知の後、更正を予知する前に修正申告 | 5% | 5万円 | 約1.4万円 | 約106.4万円 |
| 調査による更正を予知した後に修正申告 | 10% | 10万円 | 約1.4万円 | 約111.4万円 |
| 更正を予知した後に修正申告し、全額が仮装隠蔽に基づく場合 | 35%(重加算税) | 35万円 | 約1.4万円 | 約136.4万円 |
期限内申告税額が50万円未満の場合は、50万円を超える部分の割合が上がるため、調査通知の後で更正を予知する前の修正申告で7.5万円(50万円×5%+50万円×10%)、予知した後の修正申告で12.5万円(50万円×10%+50万円×15%)になります。
また、上表と同じく期限内申告税額が100万円以上の場合で、帳簿の不提示による上乗せの対象になると、更正を予知した後の修正申告の加算税は10%上乗せされ、本税100万円全額が対象なら20万円になります。
調査通知の前に更正を予知せず修正申告すれば、更正を予知した後に修正申告する場合と比べて、加算税だけで10万円の差が出ます。更正を予知した後の修正申告で、全額が仮装隠蔽に基づくとして重加算税が課された場合との差は35万円です。帳簿の見直しで誤りに気づいた場合は、税務調査を待たずに修正申告を行うことが経済的に最も合理的な判断です。
追徴課税の総額シミュレーション
税務調査で法人税100万円の申告漏れが指摘され、調査による更正を予知した後に修正申告した場合の追徴額をシミュレーションします。前提は、期限内申告税額が100万円以上、法定納期限の翌日から183日目に修正申告書を提出して同日に納付、仮装隠蔽なし、帳簿の不提示等や過去の賦課歴による加算税の上乗せなし、全期間が令和8年中です。
本税(追加法人税): 100万円(法人税率23.2%の場合、申告漏れ所得は約431万円に相当)
過少申告加算税: 100万円 × 10% = 10万円
延滞税: 100万円 × 2.8% × 183/365 = 約14,038円 → 100円未満を切り捨てて14,000円(修正申告書の提出日が納期限のため、計算期間のすべてが低い方の割合)
追徴合計: 約111.4万円
修正申告書を出したあと納付が90日遅れると、提出日の翌日から2か月(61日)を経過した後の29日分に年9.1%がかかります。100万円 × 2.8% × 244/365 + 100万円 × 9.1% × 29/365 = 約25,948円で、100円未満を切り捨てて25,900円です。提出日に納付した場合より約1.2万円増えます。
仮にこの申告漏れが仮装隠蔽と認定された場合、過少申告加算税10万円の代わりに重加算税35万円が課され、追徴合計は約136.4万円に跳ね上がります。
仮装・隠蔽があった場合は延滞税の計算期間の特例も適用されないことがあるため、長期間にわたる申告漏れでは延滞税の負担がさらに大きくなります。追徴課税の相場も参考にしてください。
このシミュレーションからわかるとおり、本税100万円に対してペナルティだけで約11〜36万円が上乗せされます。加えて、加算税・延滞税は法人税法第55条第4項第1号により損金不算入のため、損金算入による法人税の軽減はなく、支払った金額をそのまま負担します。
複数税目にまたがる追徴のケース
法人税だけでなく、消費税や源泉所得税にも加算税と延滞税の仕組みがあります。たとえば外注費として処理していた支払いが給与と認定されると、主に次の2つが生じます。
- 源泉所得税: 給与として源泉徴収して納めるべきだった税額が未納になるため、その税額に不納付加算税(原則10%)と延滞税がかかります
- 消費税: 給与は課税仕入れにあたらないため、外注費として控除していた仕入税額控除が否認されます。一般課税で、年間600万円(税込・標準税率)の支払いにかかる消費税等を全額控除していた場合、600万円 × 10/110 ≒ 約54.5万円(地方消費税を含む)の控除が認められなくなり(課税売上割合によって控除が制限されていた場合は金額が変わります。簡易課税では実際の仕入額を控除の計算に使わないため、この給与認定だけでは通常、消費税額は変わりません)、過少申告加算税と延滞税が加わります
通常の使用人に対する給与であれば、支払額は原則として損金算入できます。ただし、控除していた消費税の経理処理を見直したり、追加で消費税を納めたりすることで、法人税の課税所得が変わる場合があります。役員給与の損金不算入にあたる場合など、別の理由で法人税に影響が出ることもあります。
複数年度にわたる申告漏れの場合
税務調査では通常過去3〜5年分の申告が調査対象になります。毎年同じ誤りを繰り返していた場合、1年分の申告漏れ額が小さくても、複数年分を合算すると追徴額が膨らみます。
たとえば年間30万円の経費の過大計上が5年間続いていた場合、法人税率23.2%で計算すると、本税の追徴は150万円分の所得に対して約35万円です(中小法人の軽減税率が適用される所得があれば、これより少なくなります)。これに各年分の過少申告加算税と延滞税が加わります。
延滞税は年度ごとに法定納期限からの日数や適用される割合が違い、法定申告期限から1年を超える期間が計算期間の特例で除かれることもあるため、年度ごとに計算します。
追徴税額を抑えるためにできること
追徴税額を最小限にするためには、税務調査の事前通知を受けた段階で速やかに対応を開始することが重要です。
調査通知の後でも、調査による更正を予知する前に修正申告すれば、過少申告加算税は5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%。帳簿の不提示等による上乗せがない場合)に軽減されます。また、延滞税は日数に応じて加算されるため、指摘を受けた後は速やかに修正申告と納付を行うことで延滞税の総額を抑えられます。
国税庁のウェブサイトには延滞税の計算方法と計算ツールが公開されています。ツールは所得税と個人事業者の消費税・地方消費税が対象で、重加算税が課された場合などには対応していません。
法人税の修正申告では、本記事の計算式や国税庁の「延滞税の計算方法」に沿って試算し、必要に応じて税理士に確認してください。追徴税額の概算を早めに把握しておくと、納付資金の準備を計画的に進められます。
調査通知の前で、調査による更正を予知していない修正申告であれば、過少申告加算税は課されないため、日頃から帳簿を見直し、誤りに気づいた時点で速やかに対応する習慣が結果的に最も経済的な選択になります。
顧問税理士がいる場合は、調査官から指摘を受けた時点で税理士に連絡し、修正申告の要否と追徴見込み額の試算を依頼してください。税務調査への対応方法を事前に把握しておくことで、落ち着いた判断が可能になります。
なお、資金繰りの都合で追徴税額を一括で納付できない場合は、所轄税務署に猶予を申請する方法があります(国税庁 タックスアンサーNo.9206)。
猶予には2種類あります。換価の猶予は、一時に納付すると事業の継続が困難になるおそれがあり、納税に誠実な意思があり、ほかに滞納している国税がない場合などに、納期限から6か月以内の申請で認められることがあります。
納税の猶予は、災害・病気・事業の休廃業・事業の著しい損失などの事実があって一時に納付できない場合や、本来の期限から1年以上たってから修正申告などで税額が確定した場合(納期限までの申請が必要)に認められることがあります(国税通則法第46条)。
どちらも期間は原則1年以内で、猶予期間中は原則として毎月分割して納付します。
申請には、猶予を受けようとする金額が100万円以下なら「財産収支状況書」、100万円を超えるなら「財産目録」と「収支の明細書」が必要です。原則として担保の提供も求められますが、猶予額が100万円以下の場合や猶予期間が3か月以内の場合などは不要です。
分割納付の見込みを示せるよう、資金繰り表で今後の収支を整理しておくと申請書を作りやすくなります。金額が大きい場合は、税理士と相談のうえで申請書を作成するのが望ましいです。
猶予期間中の延滞税は免除または軽減されます。災害や病気などによる納税の猶予では、猶予期間に対応する延滞税が全額免除されます。
事業の休廃業・著しい損失などによる納税の猶予や換価の猶予では、法律上の原則として、納期限の翌日から2か月を経過した後の猶予期間に対応する延滞税の2分の1が免除されます(国税通則法第63条第1項)。
ただし租税特別措置法第94条第2項の特例にあてはまる場合は、2か月を経過する前も含めた猶予期間全体について、延滞税の割合を猶予特例基準割合として計算した額を超える部分が免除されます(国税庁 事務運営指針「猶予をした場合における延滞税の免除」)。令和8年の猶予特例基準割合は年1.3%(令和7年は年0.9%)で、毎年見直されます。
まとめ
延滞税・加算税の計算のポイント
- 加算税の基本税率は種類(過少申告10〜15%、無申告15〜30%、重加算35〜40%)によって大きく異なり、帳簿の不提示や繰り返しの無申告などでは上乗せがある
- 延滞税は2026年(令和8年)で、納期限までの期間と納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%。修正申告では提出日が納期限になる
- 調査通知の前で、調査による更正を予知していない修正申告なら過少申告加算税は課されない(国税通則法第65条第6項)
- 加算税・延滞税はいずれも損金不算入。損金算入による法人税の軽減はない
追徴課税の見込み額の試算や修正申告の判断と対応方法についてご相談がある場合は、無料相談からお問い合わせください。納付資金の確保が難しい場合の対応策についても確認事項を整理します。
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よくある質問
- Q. 延滞税と加算税の違いは何ですか?
- A. 延滞税は税金の納付が遅れたことに対する利息的なペナルティで、原則として法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて計算されます。加算税は申告内容に誤りがあったこと(過少申告)や申告しなかったこと(無申告)に対するペナルティで、追加で納める税額に対して一定の割合で課されます。
- Q. 延滞税の税率は何%ですか?
- A. 2026年(令和8年)の延滞税の割合は、納期限までの期間と納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です(令和4年〜令和7年は年2.4%・年8.7%)。修正申告や期限後申告では申告書を提出した日が納期限になるため、提出した日に納付すれば、延滞税の計算期間(計算期間の特例で除かれる期間を除く)には低い方の割合が適用されます。法律上の原則は年7.3%・年14.6%ですが、特例により低い割合が適用され、毎年見直されます。
- Q. 加算税は損金にできますか?
- A. できません。延滞税・過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税は、法人税法第55条第4項第1号により損金不算入と定められています(同法第38条は、損金不算入とする法人税からこれらを除いたうえで、別に55条で定める建て付けです)。損金算入による法人税の軽減がないため、支払った金額をそのまま負担することになります。
- Q. 修正申告を自主的に行えば加算税はかかりませんか?
- A. 調査による更正を予知してされたものでなく、かつ調査通知(調査の対象となる税目・期間などの通知)の前に修正申告した場合、過少申告加算税は課されません(国税通則法第65条第6項)。調査通知の後でも、調査による更正を予知してされたものでない修正申告なら5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%)です。調査による更正を予知した後の修正申告は10%(同じく超える部分は15%)です。いずれも基本税率で、帳簿の不提示等による上乗せがない場合の割合です。延滞税は、調査通知の前に修正申告した場合でも原則としてかかります(全額が1,000円未満なら課されません)。