財務改善ナビ
経営・財務

国の支援制度を使い倒す

経営・財務 5分で読める

経営改善支援事業(405事業)の活用法

中小企業の経営改善を支援する405事業(経営改善計画策定支援事業)について、対象要件・申請手順・計画策定のポイントを解説。認定経営革新等支援機関との連携方法も紹介します。

経営環境の悪化や借入金の増大により資金繰りに苦しむ中小企業にとって、経営改善計画の策定は再建への第一歩です。しかし、専門家に計画策定を依頼するには費用がかかり、費用負担が経営改善の障壁となるケースがあります。

経営改善計画策定支援事業(通称「405事業」)は、中小企業が認定経営革新等支援機関の支援を受けて経営改善計画を策定する際の費用を補助する国の事業です。本記事では、405事業の仕組み、申請手順、経営改善計画策定の実務ポイントを解説します。

計画策定費用の2/3(上限300万円)が補助される

405事業では、経営改善計画の策定費用と伴走支援費用の**2/3(上限300万円)**が補助されます。専門家費用が経営改善の障壁になっている企業は積極的に活用を検討してください。

405事業の概要

制度の趣旨と背景

405事業は、中小企業の経営改善を促進するために、経営改善計画の策定費用と策定後の伴走支援費用を補助する事業です。中小企業庁が所管し、各都道府県の中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)が窓口となっています。

制度の背景には、中小企業の経営改善において専門家の支援が不可欠であるにもかかわらず、費用面の制約から支援を受けられない企業が多いという課題があります。405事業により専門家費用の一部を国が負担することで、経営改善に取り組む中小企業を後押しする狙いです。

対象となる中小企業

405事業の対象は、借入金の返済負担等の影響で財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者です。具体的には、金融機関からリスケジュール(返済条件の変更)を受けている、または今後リスケジュールを受ける予定の企業が主な対象となります。

中小企業基本法に定める中小企業者(製造業:資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下、小売業:資本金5千万円以下または従業員50人以下、サービス業:資本金5千万円以下または従業員100人以下)が対象です。

申請から支援完了までの流れ

ステップ1:認定支援機関への相談

まず、認定経営革新等支援機関に相談します。顧問税理士が認定支援機関であれば、自社の財務状況を既に把握しているため、スムーズに進められます。顧問税理士が認定を受けていない場合は、中小企業庁のウェブサイトで最寄りの認定支援機関を検索できます。

ステップ2:利用申請

認定支援機関と連携して、中小企業活性化協議会に利用申請を行います。申請時には、直近の決算書、借入金の一覧、事業概要などの資料が必要です。協議会が申請内容を確認し、支援の適否を判断します。

ステップ3:経営改善計画の策定

利用が承認されたら、認定支援機関の支援のもとで経営改善計画を策定します。計画には、現状分析(財務分析、事業分析)、経営課題の特定、改善施策の立案、数値計画(損益計画、資金繰り計画、BS計画)、アクションプランが含まれます。

計画の実現可能性が重要です。楽観的すぎる数値計画は金融機関の信頼を得られず、計画への同意を得ることが困難になります。

ステップ4:金融機関の同意取得

策定した経営改善計画を、取引金融機関に説明し、同意(バンクミーティング)を取り付けます。金融機関が計画に同意することで、リスケジュールの継続や新たな金融支援の実行が決定します。

ステップ5:計画実行とモニタリング

計画策定後は、原則として3年間にわたり、認定支援機関によるモニタリング(伴走支援)が行われます。四半期ごとに計画と実績の乖離を確認し、必要に応じて計画の修正や追加施策の検討を行います。

経営改善計画策定のポイント

現状分析の深度

経営改善計画の質は、現状分析の深度で決まります。財務分析では、BS・PL・キャッシュフロー計算書の3期比較を行い、財務上の課題を定量的に把握します。事業分析では、売上の構成(顧客別・商品別・地域別)、コスト構造、競争環境を整理します。

実効性のある改善施策

改善施策は「具体的」「実行可能」「効果測定可能」であることが求められます。売上向上策、コスト削減策、資産効率化策の3つの軸で施策を立案し、それぞれの実行スケジュール、担当者、期待効果を明記します。

楽観的すぎる数値計画は金融機関の信頼を損なう

経営改善計画の数値は保守的に策定することが重要です。売上計画は根拠のある積み上げ方式で作成し、計画未達時の対応策も検討しておきましょう。

金融機関を納得させる数値計画

数値計画は保守的に策定することが重要です。金融機関が計画に同意するには、計画の達成可能性に対する信頼が不可欠です。売上計画は根拠のある積み上げ方式で作成し、費用計画は個別の削減項目と金額を明示します。

中小企業の会計に関する基本要領(中小企業庁策定)に準拠した会計処理を前提とし、恣意的な利益調整は排除する必要があります。

405事業を活用する際の注意点

費用の立替が必要

405事業の補助金は後払い方式であり、認定支援機関への報酬は一旦企業が立て替える必要があります。資金繰りが厳しい企業にとっては、この立替資金の確保が課題となる場合があります。

計画の未達時のリスク

経営改善計画を策定しても、計画通りに進まないケースは少なくありません。計画が大幅に未達となった場合、金融機関がリスケジュールの延長に応じない可能性があります。計画策定時に保守的な数値を設定し、計画未達時の対応策(コンティンジェンシープラン)も検討しておくことが望ましいでしょう。

まとめ

この記事のポイント

  • 405事業で経営改善計画の策定費用の**2/3(上限300万円)**が補助される
  • 認定経営革新等支援機関と連携し、保守的で実効性のある計画を策定する
  • 計画策定後は3年間のモニタリング(伴走支援)で実行をフォローアップ
  • 経営に不安を感じたら早期に中小企業活性化協議会に相談する

405事業の活用を検討する際は、経営改善チェックリストで自社の財務状態を事前に把握しておくとスムーズです。計画策定に必要な事業計画書の書き方も参考にしてください。経営改善計画の策定や資金繰りについてご相談がある場合は、無料相談からお問い合わせいただけます。

よくある質問

Q. 405事業を利用するための要件は何ですか?
A. 借入金の返済負担等の影響で財務上の問題を抱えており、金融支援(リスケジュール等)を受けている、または受ける予定の中小企業・小規模事業者が対象です。認定経営革新等支援機関が経営改善計画の策定を支援し、金融機関が計画に同意することが要件となります。
Q. 405事業でいくらまで補助を受けられますか?
A. 経営改善計画の策定にかかる費用について、上限300万円(経営改善計画策定支援:上限200万円、伴走支援:上限100万円)の補助を受けることができます。補助率は費用の3分の2です。ただし、補助金額や制度の詳細は年度によって変更される場合があるため、中小企業活性化協議会や中小企業庁のウェブサイトで最新情報を確認してください。
Q. 認定経営革新等支援機関とは何ですか?
A. 中小企業等経営強化法に基づき、中小企業に対して専門性の高い支援を行う機関として国が認定した機関です。税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士、金融機関などが認定を受けています。中小企業庁のウェブサイトで認定支援機関の一覧を検索できます。
Q. 経営改善計画はどのくらいの期間で策定しますか?
A. 一般的には3〜6か月程度です。現状分析、課題の特定、改善施策の立案、数値計画の策定、金融機関への説明と同意取得までを含みます。計画策定後は、原則として3年間のモニタリング(伴走支援)が行われます。

関連記事

コラムの新着記事

記事の内容を自社の状況に当てはめる

債権の状態、決算時期、顧問士業との確認事項を分けて整理します。

状況を送る