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工事代金を待たずに資金化

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建設業の出来高請求とファクタリング活用

建設業特有の出来高請求による資金繰り課題と、ファクタリングを活用した解決方法を解説。工事代金の支払いサイトが長い建設業者向けに、利用時の注意点をまとめました。

建設業は、他の業種と比較して資金繰りに構造的な困難を抱えやすい業種です。工事の着工から完成まで数ヶ月から数年を要し、材料費や外注費は先行して支払う必要がある一方、工事代金の入金は完成後さらに60日から120日後というケースが珍しくありません。

こうした資金ギャップを解消する手段として、建設業界でファクタリングの活用が広がっています。特に出来高請求(工事の進捗に応じて段階的に請求する方式)を行っている場合、その請求書をファクタリングで早期資金化することで、次工程の資金を確保しやすくなります。本記事では、建設業特有の資金繰り課題とファクタリング活用の実務を解説します。

建設業の資金繰りが厳しくなる構造的な理由

建設業の資金繰りが厳しくなる最大の原因は、支出と入金のタイミングのズレです。たとえば、3,000万円の工事を受注した場合、着工前に材料費の仕入れ、重機のリース、作業員の人件費が発生します。これらの原価は工事代金の入金を待たずに支払わなければなりません。

建設業法第24条の6では、元請負人が下請代金を適正な期間内に支払うことを求めていますが、実態としては支払いサイトが長い商慣行が根強く残っています。国土交通省は「建設業法令遵守ガイドライン」で支払期日の適正化を指導していますが、中小の下請業者ほど元請けとの力関係から支払い条件の交渉が難しい状況にあります。

さらに、建設業は季節要因や景気変動の影響を受けやすく、天候不順による工期延長や追加工事の発生が資金計画を狂わせることも少なくありません。こうした不確実性に対応するため、一定の運転資金バッファが必要ですが、中小建設業者にとっては銀行借入の枠にも限りがあります。

出来高請求書をファクタリングに活用する方法

出来高請求とは、工事の進捗度合いに応じて段階的に工事代金を請求する方式です。公共工事や大型民間工事では一般的に採用されており、着手金、中間金、完成金といった形で分割請求を行います。

ファクタリングでは、この出来高請求書を売掛債権としてファクタリング会社に売却し、請求額の80%から95%程度を即日または数日以内に受け取ることができます。残りの5%から20%はファクタリング会社の手数料および支払い時の精算分です。

利用にあたっての要件として、発注者(元請け)による出来高の承認が完了していること、請求書が正式に発行済みであること、債権譲渡禁止特約がないこと(2020年施行の改正民法により原則有効ですが、実務上は確認が必要)が挙げられます。

公共工事の場合は発注者が国や地方公共団体であるため、売掛先の信用力が極めて高く、ファクタリング会社の審査が通りやすいうえに手数料率も低めに設定される傾向があります。3社間ファクタリングであれば2%から5%程度の手数料率で利用できるケースもあります。

建設業がファクタリングを利用する際の注意点

建設業でファクタリングを利用する際には、いくつかの固有のリスクを理解しておく必要があります。

工事瑕疵による減額リスクとして、施工不良が発覚した場合、元請けが工事代金から補修費用を相殺する可能性があります。ファクタリング会社に債権を売却した後にこの相殺が発生すると、2社間ファクタリングでは利用企業が差額を負担しなければならない場合があります。契約時に相殺リスクの取り扱いを確認しておくことが重要です。

重層下請構造による影響として、元請けから一次下請け、二次下請けと階層が深くなるほど、支払いサイトが長くなり手数料率も高くなる傾向があります。二次下請け以降の業者がファクタリングを利用する場合、手数料負担が利益を圧迫しないかを慎重に計算する必要があります。

建設業許可への影響については、ファクタリングの利用自体が建設業許可の要件に影響することはありません。ただし、過度にファクタリングに依存して財務体質が悪化すると、許可の更新時に必要な「財産的基礎」の要件(一般建設業では自己資本500万円以上)を満たせなくなるリスクがあります。

銀行融資とファクタリングの使い分け

建設業の資金調達手段として、ファクタリングは銀行融資と競合するものではなく、補完的に活用すべきものです。

銀行融資は金利が低く(年1%から4%程度)、長期的な設備投資や運転資金に適しています。一方で、審査に時間がかかり、赤字決算の場合は新規融資が困難になるという制約があります。ファクタリングは手数料率は高いものの、審査が速く、利用企業の業績よりも売掛先の信用力が重視されるため、赤字企業でも利用しやすいという特徴があります。

具体的な使い分けとして、大型工事の着工資金は銀行融資(工事受注に基づく短期融資)、突発的な資金需要や支払いサイトのギャップ解消はファクタリング、設備投資は銀行融資(設備資金融資)という組み合わせが合理的です。

まとめ

要点

  • 建設業の出来高請求ファクタリングは、支払いサイトの長さに起因する資金繰り課題の有効な解決策
  • 公共工事や大手元請けからの受注は売掛先の信用力が高いため、有利な手数料条件を引き出しやすい
  • 手数料負担が利益を圧迫しないよう採算を検討し、銀行融資との適切な使い分けを意識する

ファクタリングの手数料相場については「ファクタリング手数料の相場」で、審査基準の詳細は「ファクタリングの審査基準」で解説しています。

建設業の資金繰り改善についてご相談がある場合は、無料相談からお問い合わせください。

よくある質問

Q. 建設業でファクタリングを利用するメリットは?
A. 工事代金の支払いサイトが60日から120日と長い建設業では、材料費や外注費の先払いが必要なため資金繰りが厳しくなりがちです。ファクタリングを利用すれば、出来高に応じた請求書を早期に資金化でき、下請け代金の支払いや新規工事の着工資金に充てられます。
Q. 出来高請求書でもファクタリングは利用できますか?
A. 利用可能です。ただし、出来高が発注者に承認済みであること、請求書が正式に発行されていることが前提です。未承認の出来高や口頭ベースの請求ではファクタリング会社の審査が通りにくくなります。
Q. 建設業のファクタリング手数料の相場は?
A. 2社間で8%から18%、3社間で2%から9%程度が一般的です。元請けの信用力、工事の種類、請求額の規模によって変動します。公共工事の売掛金は元請けの信用力が高いため、比較的低い手数料率が適用される傾向にあります。
Q. 下請法との関係は?
A. ファクタリングの利用自体は下請法に抵触しません。ただし、元請けが下請け業者にファクタリングの利用を強制したり、ファクタリング手数料分を工事代金から差し引いたりする行為は、下請法第4条の減額の禁止に該当する可能性があります。

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