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事業再構築補助金 2026年の最新状況|終了と後継制度を解説

事業再構築補助金は2025年3月の第13回公募で新規募集を終了しました。2026年に申請できる後継制度「中小企業新事業進出補助金」の概要・補助額・申請フロー・事業再構築補助金との違いを解説します。

「2026年も事業再構築補助金を申請できるか」と検索した方に、まず正確な情報をお伝えします。事業再構築補助金は2025年3月26日の第13回公募をもって、新規の応募受付を終了しました。中小企業庁の公式サイトでも「新規の応募申請受付は第13回公募で終了」と明記されています。

2026年現在、大型の新事業投資に使える制度として機能しているのは、後継の「中小企業新事業進出補助金(新事業進出補助金)」です。補助上限額は最大9,000万円(大幅賃上げ特例適用時)で、制度の規模感は事業再構築補助金を引き継いでいます。一方で申請要件や政策目的は大きく変わっており、事業再構築補助金と同じ感覚で準備を進めると要件を満たさないリスクがあります。

本記事では、事業再構築補助金の終了経緯と現在の状況、後継制度の制度概要、申請フロー、事業再構築補助金との違いを整理します。

事業再構築補助金の終了と現在の状況

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業が事業転換・新分野展開・業態転換などに取り組む費用を支援するため、2021年度(令和3年度)に創設されました。

制度開始から2024年度末(2025年3月)まで、計13回の公募が実施されました。累計申請件数は数十万件に達し、日本の中小企業政策史上最大規模の補助金制度として機能しました。

第13回公募で新規募集が終了した背景

制度終了の直接的な理由は、当初の政策目的であるコロナ対応が一段落したことです。2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行したことを受け、政府は中小企業支援の重点を「コロナからの回復・業態転換」から「成長投資・新市場進出」に転換しました。

第13回公募の電子申請受付は2025年3月26日に終了。採択結果は2025年6月30日に公表されています。

第13回採択者の手続きは継続中

第13回公募の採択事業者については、交付申請・交付決定・補助事業実施・実績報告・精算払請求・事業化状況報告の手続きが2026年以降も続きます。事業再構築補助金の公式サイト(jigyou-saikouchiku.go.jp)で最新の手引きとスケジュールを確認してください。

事業再構築補助金の制度概要(参考)

終了した制度の概要を理解しておくことは、後継制度との違いを把握する上で役立ちます。

事業再構築補助金では「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」の5類型のいずれかに取り組む事業計画が対象でした。補助上限額は枠や従業員数によって異なりますが、最大1億5,000万円(成長加速化枠・特別枠)の事例もありました。

主な申請枠(第12〜13回)補助上限額
成長分野進出枠(通常類型)従業員規模により3,000万〜1億円
成長分野進出枠(GX進出類型)従業員規模により3,000万〜1億円
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)500万〜1,500万円

補助率は中小企業の場合2分の1、小規模事業者は3分の2(一部枠)でした。売上高減少要件や認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の事業計画確認が申請の前提条件でした。


2026年に使える後継制度:中小企業新事業進出補助金

事業再構築補助金の終了後、その実質的な後継として位置づけられるのが「中小企業新事業進出促進補助金」(通称:新事業進出補助金)です。令和6年度補正予算で新設され、2025年4月に第1回の公募が開始されました。

所管は経済産業省・中小企業庁で、事務局は中小企業基盤整備機構が担っています。公式サイトは shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp です。

制度の目的と位置づけ

事業再構築補助金が「コロナからの回復」を支援したのに対し、新事業進出補助金は「成長を目指した新市場への挑戦」を支援する制度です。既存事業のリソースを活かしながら、これまで提供したことのない製品・サービスを新たな顧客層に届ける取り組みに投資する事業者が対象です。

業態転換(提供方法のみを変える取り組み)は、原則として対象外です。この点は事業再構築補助金から大きく変わった部分で、「同じ商品をEC販売に切り替えた」「テイクアウトに対応した」といった取り組みは支援の対象になりません。

補助率と補助上限額

補助率は規模にかかわらず一律2分の1です。

補助上限額は従業員数に応じて設定されています。地域別最低賃金引上げ特例が適用される場合は補助率が3分の2に引き上げられます。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ特例適用時
20人以下2,500万円3,000万円
21〜50人4,000万円5,000万円
51〜100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円

補助金額の下限は750万円(補助対象経費が1,500万円以上の投資が前提)。少額の設備投資には向かない制度設計です。

対象となる経費

対象経費はハード面とソフト面の両方をカバーしています。ただし、「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかが含まれることが必須条件です。

ハード系の対象経費として、建物費(建設・改修・撤去)、構築物費、機械装置・システム構築費、運搬費が挙げられます。建物費が対象に含まれる点は、製造業・飲食業・宿泊業など実店舗を伴う事業者にとって使い勝手のよいポイントです。

ソフト系では、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費が対象です。

交付決定前の発注は対象外

採択通知を受け取っても、交付決定が下りる前に購入・発注した経費は補助対象になりません。採択後から交付決定までの期間(通常1〜2か月)は、経費の支出を控えてください。


申請に必要な5つの要件

新事業進出補助金の申請には、以下の5つの要件をすべて満たす事業計画の策定が必要です。事業再構築補助金と比べて要件が厳格化されており、補助申請の前に自社の計画が各要件を満たすか確認することが重要です。

申請に必要な5つの基本要件

  1. 新事業進出要件 — 過去に提供したことのない製品・サービスを既存事業とは異なる顧客層に提供する計画。新事業の売上高が総売上高の10%以上、または付加価値額の15%以上を占める見込みが必要
  2. 付加価値額要件 — 「営業利益 + 人件費 + 減価償却費」で定義される付加価値額を年率平均4.0%以上増加させる計画
  3. 賃上げ要件 — 一人あたり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させる計画(達成できなかった場合は補助金の一部返還義務あり)
  4. ワークライフバランス要件 — 労働時間・有給休暇・育児休業に関する一定基準の充足
  5. 最低賃金水準要件 — 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上を維持

特に注意が必要なのが賃上げ要件です。事業再構築補助金でも賃上げに関する要件はありましたが、新事業進出補助金では「年平均3.5%以上の一人あたり給与増」が義務付けられ、未達成の場合は補助金の一部を返還しなければなりません。採択前に、自社の財務状況や採用計画を踏まえて達成可能かどうか慎重に検討することが求められます。


事業再構築補助金との主な違い

事業再構築補助金での申請経験がある事業者や、制度を比較検討している経営者向けに、両制度の主な違いを整理します。

比較項目事業再構築補助金(終了)新事業進出補助金(現行)
政策目的コロナからの事業転換・回復成長志向の新市場進出
業態転換対象(4類型のひとつ)原則対象外
補助上限(最大)最大1億5,000万円(特別枠)最大9,000万円(大幅賃上げ特例)
補助率2分の1〜3分の2(枠による)原則2分の1(特例で3分の2)
口頭審査なしあり(オンライン)
認定支援機関確認が必須不要(任意)
売上高減少要件あり(枠によって異なる)なし
賃上げ要件任意(加点項目)必須(未達で返還義務)
ワークライフバランス要件なし必須

認定支援機関の関与が不要になった点は手続きの簡素化につながっていますが、口頭審査の導入により経営者自身が事業計画を説明できる準備が求められるようになっています。


2026年の公募スケジュール

新事業進出補助金は2025年4月の第1回公募以降、年3〜4回の公募が実施されています。2026年の第3回・第4回は以下のスケジュールで進んでいます。

公募回申請受付期間採択発表予定
第3回2026年2月17日〜3月26日(終了)2026年7月上旬頃
第4回2026年5月19日〜6月19日2026年9月末頃

第4回は現行の新事業進出補助金としての最後の公募になる可能性があります。2026年度後半には「ものづくり補助金」との統合が予定されており、統合後は「新事業進出・ものづくり補助金」として新たな公募が開始される見込みです(公募要領公開:2026年6月予定、公募開始:2026年8月見込み)。

第4回公募の申請受付は2026年5月19日〜

第4回公募の申請受付は2026年5月19日(火)から6月19日(金)18:00まで。採択発表は2026年9月末頃の予定です。申請には電子申請システムへの登録と事業計画書の作成が必要で、準備に1〜2か月かかることが一般的です。締め切りを考慮すると、4月中に準備を開始することが推奨されます。


申請から補助金受取までの流れ

新事業進出補助金の申請から補助金の受取まで、標準的な手続きの流れを整理します。

1

事業計画の策定

新事業の市場性・競合分析・実現可能性・収益計画・賃上げ計画を盛り込んだ事業計画書を作成します。計画書の品質が採否を大きく左右するため、十分な時間をかけて準備することが重要です。口頭審査での説明を想定して、自分の言葉で説明できる内容にまとめることも求められます。

2

電子申請(応募期間内)

中小企業基盤整備機構が提供する電子申請システムから応募します。GビズIDの取得が必要です。GビズIDの発行には1〜2週間かかる場合があるため、申請受付開始前に取得を済ませておくことが推奨されます。

3

書面審査・口頭審査

提出した事業計画書を基に書面審査が行われます。書面審査を通過した申請者は、オンラインで口頭審査を受けます。経営者自身が事業の内容・必要性・実現可能性を説明し、審査員からの質疑に答えます。口頭審査の日程は審査機関から別途連絡があります。

4

採択通知・交付申請

採択結果はJ-Net21等を通じて公表されます。採択後は交付申請書を提出し、補助金交付決定を受けます。交付決定が下りるまで経費の支出は行わないよう注意が必要です。交付申請から交付決定まで通常1〜2か月かかります。

5

補助事業の実施

交付決定を受けた後、補助事業を実施します。実施期間は交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)です。実施期間中は経費の管理と証拠書類の保管が必要です。計画変更が生じた場合は事前に事務局に届け出てください。

6

実績報告・補助金の受取

補助事業完了後30日以内に実績報告書を提出します。事務局による内容確認・現地調査(場合による)の後、補助金額が確定し、精算払請求が可能になります。補助金は原則として後払い(精算払い)のため、事業実施期間中の資金は自己資金または融資で手当てする必要があります。

7

事業化状況報告(採択後5年間)

補助事業完了後も、毎年事業化状況の報告が求められます。賃上げ要件を達成できなかった場合は、補助金の一部返還が発生します。


採択率と審査で見られるポイント

採択率の推移

新事業進出補助金の採択率は公募回ごとに変動しています。第1回公募(2025年)の採択率は非公表ですが、採択予定件数は全4回合計で6,000件程度とされており、応募倍率は事業再構築補助金の初期(倍率3〜4倍)に比べてやや緩和されると見られています。

一方で、審査の難易度は書面審査に加えて口頭審査が加わったことで体感的には上がっています。

審査で重視されるポイント

審査では主に以下の観点から事業計画が評価されます。

新事業の新規性と市場性: 「既存事業との違いが明確か」「対象市場に確かな需要があるか」の2点が最重要です。競合他社の状況と自社の差別化ポイントを定量的なデータで示すことが求められます。

既存事業との関連性とリソースの活用: 事業再構築補助金では「業態転換でも対象」でしたが、新事業進出補助金では既存のノウハウ・技術・顧客基盤を活用した新事業進出が前提です。「なぜこの会社がこの新事業をやるのか」という説明の説得力が重要です。

収益計画と賃上げ原資の確保: 補助事業期間終了後に賃上げ目標を達成できるかどうか、財務面での根拠を示す必要があります。根拠の薄い楽観的な収益計画は審査で指摘されます。

実現可能性: 経営者・従業員のスキル、設備、外部パートナーの体制など、事業を実行に移せる根拠を具体的に示します。


資金調達面での注意点

補助金は採択されても、事業開始時に手元に入るわけではありません。補助金は事業完了後の精算払いが原則のため、補助事業の実施に必要な資金を先に確保しておく必要があります。

補助対象経費の上限が7,000万円(通常)の場合、自己負担分(2分の1)は3,500万円以上になります。設備投資の着手から補助金入金まで、早くても1年以上かかることが多いため、融資との組み合わせで資金計画を立てることが一般的です。

日本政策金融公庫や信用保証協会の融資を活用する場合、採択通知書を持参することで審査がスムーズになります。日本政策金融公庫の中小企業向け融資制度は、補助金申請と並行して準備しておく価値のある資金調達手段のひとつです。

また、補助金採択後の財務管理についても事前に理解しておくと、実施期間中の資金繰りを安定させやすくなります。


まとめ

事業再構築補助金の現状と後継制度について、要点を整理します。

事業再構築補助金は2025年3月の第13回公募をもって新規募集を終了しています。2026年に新規申請することはできません。第13回で採択された事業者は、交付申請から事業化状況報告まで手続きが続くため、事業再構築補助金の公式サイトで進捗を管理してください。

後継制度の「中小企業新事業進出補助金」は、2026年も公募が実施されています。補助上限額は最大9,000万円(大幅賃上げ特例)で規模感は引き継いでいますが、口頭審査や賃上げ要件の義務化など、申請要件は事業再構築補助金より厳格になっています。

2026年5月19日から第4回公募の申請受付が始まります。制度の詳細と最新情報は新事業進出補助金 2026年の詳細ガイドで解説しています。また、2026年度後半にはものづくり補助金との統合も予定されており、ものづくり補助金との統合後の新制度の動向も合わせて確認することが重要です。

よくある質問

Q. 2026年に事業再構築補助金を申請できますか?
A. 申請できません。事業再構築補助金は2025年3月の第13回公募をもって新規の応募受付を終了しました。2026年に大型の新事業投資を検討する場合は、後継制度「中小企業新事業進出補助金」の活用を検討してください。第4回公募の申請受付は2026年5月19日から6月19日です。
Q. 中小企業新事業進出補助金の補助率・補助上限額は?
A. 補助率は一律2分の1です。補助上限額は従業員20人以下が2,500万円、21〜50人が4,000万円、51〜100人が5,500万円、101人以上が7,000万円です。大幅賃上げ特例を満たすと最大9,000万円まで引き上げられます。補助金額の下限は750万円です。
Q. 事業再構築補助金と新事業進出補助金の違いは何ですか?
A. 事業再構築補助金はコロナ禍からの業態転換を目的にしていましたが、新事業進出補助金は成長志向の新市場進出を目的とした制度です。業態転換は対象外となり、口頭審査やワークライフバランス要件が新設されました。賃上げ要件(年平均3.5%以上)と付加価値額要件(年平均4.0%以上)の達成も必須です。
Q. 第13回公募に採択されたが、これからの手続きはどうなる?
A. 採択後は交付申請、交付決定、補助事業の実施、実績報告、精算払請求、事業化状況報告の流れで手続きが続きます。補助事業の実施期間は交付決定日から14か月以内が上限です。事業再構築補助金の公式サイトで最新のスケジュールと手引きを確認してください。
Q. 2026年度後半に新事業進出補助金はどうなりますか?
A. 2026年度後半にものづくり補助金と統合し、「新事業進出・ものづくり補助金」として再編される予定です。統合後の公募要領は2026年6月公開、公募開始は8月見込みとされています。現行の新事業進出補助金としての公募は第4回が最後になる可能性があります。

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