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リース契約がBSを左右する

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リース資産の見直しとBS影響

リース取引がBSに与える影響と、リース資産の見直しによるBS改善の方法を解説。リース会計基準の概要、オンバランス・オフバランスの違い、リース契約の見直し・解約時の留意点を中小企業向けにまとめました。

リース取引は中小企業にとって設備投資のコスト平準化やキャッシュフローの安定化に有用な手段ですが、BSへの影響を正しく理解しておかなければ、財務指標を歪める原因にもなりえます。特に、複数のリース契約が積み上がっている企業では、リース債務が負債全体に占める割合が無視できない水準に達していることがあります。

本記事では、リース取引がBSに与える影響を会計基準に沿って整理し、リース資産の見直しによるBS改善の方法を解説します。

リース取引の会計処理とBS影響

ファイナンス・リースとオペレーティング・リース

リース取引は、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」に基づき、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類されます。

ファイナンス・リース取引は、リース期間中の解約が不能であり、借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受し、かつ使用に伴うコストを実質的に負担するリース取引です。会計上は、リース物件を資産として計上し、リース料総額を負債として計上する処理(オンバランス処理)が原則です。

オペレーティング・リース取引は、ファイナンス・リースに該当しないリース取引であり、通常の賃貸借取引として処理します。リース料を支払った期に費用計上するのみで、BSには資産も負債も計上されません(オフバランス処理)。

オンバランス処理がBSに与える影響

リース債務は実質的な有利子負債

ファイナンス・リースのリース債務は、金融機関の審査では借入金と合わせて実質的な有利子負債として評価されます。複数契約を抱えている場合、DEレシオの悪化要因となるため定期的な見直しが必要です。

ファイナンス・リースをオンバランスで処理すると、BSの資産の部にリース資産が計上され、負債の部にリース債務が計上されます。この結果、総資産が増加し、負債も増加するため、[自己資本比率](/bs-kaizen/bs-kaizen-jiko-shihon/)が低下する方向に作用します。

複数のファイナンス・リース契約を抱えている場合、リース債務の合計額が借入金と合わせて実質的な有利子負債となり、DEレシオ(有利子負債/自己資本)の悪化要因となります。金融機関の審査においては、リース債務を含めた実質的な借入負担が評価の対象となるため、注意が必要です。

中小企業における簡便的な処理

「中小企業の会計に関する指針」では、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、一定の注記を条件として賃貸借処理(リース料を支払い時に費用計上する方法)が認められています。この簡便処理を適用すると、ファイナンス・リースであってもBSに計上されないため、見かけ上の自己資本比率は維持されます。

ただし、金融機関はこの簡便処理の利用を把握したうえで実質的な負債水準を評価するケースが多いため、BSの表示だけで有利不利を判断するのは適切ではありません。

リース資産の見直しによるBS改善

既存リース契約の棚卸し

BS改善を目的としたリース資産の見直しは、まず既存のリース契約の棚卸しから始めます。リース物件の内容、リース期間、月額リース料、残リース期間、再リース条件、リース満了後の選択肢(返却・再リース・買取り)を一覧化します。

棚卸しの結果、使用していないにもかかわらずリース料を支払い続けている物件、再リースで本来より高額なリース料を支払い続けている物件が見つかることがあります。

リース満了時の選択

リース期間の満了時には、返却、再リース、買取りのいずれかを選択します。BS改善の観点からは、それぞれの選択肢が持つ特性を考慮して判断します。

返却を選択すると、リース資産とリース債務がBSから除去され、資産・負債の両方が圧縮されます。使用頻度の低い物件や、技術的に陳腐化した設備については返却が合理的な選択肢です。

再リースの場合、リース料は通常大幅に低下(年額で元のリース料の10分の1程度が一般的)しますが、引き続き使用する合理性があるかを検討します。

買取りを選択すると、リース債務はなくなり、自社の固定資産として計上されます。残耐用年数にわたって減価償却を行うことになり、BSの構成が変化します。

リースと購入の比較検討

新規の設備投資にあたっては、リースと購入のどちらがBS上有利かを比較検討します。リースは初期投資を抑えられますがリース料総額は購入価格を上回るのが一般的であり、長期的なコストと財務指標への影響を総合的に判断します。

中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制を利用すれば、購入の場合に即時償却や税額控除の適用を受けられるため、税制面のメリットも購入判断の材料となります。BSの全体像を把握するにはBSの読み方と改善ポイントも参考にしてください。

新リース会計基準への対応

2027年4月適用予定の改正内容

2027年の新リース会計基準に備える

新基準ではオペレーティング・リースもオンバランス化されるため、リース取引が多い企業ではBSの総資産と負債が大幅に膨らむ可能性があります。早期に全リース契約の影響額を試算しておくことが推奨されます。

企業会計基準委員会(ASBJ)は、新しいリース会計基準の適用を2027年4月以降開始する事業年度から予定しています。この改正により、借手はすべてのリース取引(短期リースおよび少額リースを除く)について使用権資産とリース負債をBSに計上することになります。

この改正が適用されると、現在オフバランス処理しているオペレーティング・リースもBSに計上されるため、リース取引を多用している企業では総資産と負債が大幅に増加する可能性があります。

中小企業への影響

新基準の中小企業への適用時期や適用範囲は今後の検討課題ですが、大企業との取引において新基準の影響が及ぶ可能性があるため、リース取引の全体像を早期に把握しておくことが推奨されます。

まとめ

この記事のポイント

  • ファイナンス・リースのオンバランス処理はBSの資産と負債の両方を増加させ、自己資本比率の低下要因となる
  • リース満了時は返却・再リース・買取りをBS改善と使用実態の両面から判断し、不要物件は返却でBSを圧縮する
  • 2027年4月の新リース会計基準によりオペレーティング・リースもオンバランス化されるため、早期の影響把握が必要

リース資産の見直しやBS改善の進め方について確認事項がある場合は、無料相談からお問い合わせください。

よくある質問

Q. リース取引はBSにどのように影響しますか?
A. ファイナンス・リース取引は、リース資産として資産計上し、リース債務を負債計上するため、BSの資産・負債の両方が増加します(オンバランス処理)。一方、オペレーティング・リース取引は原則として資産・負債を計上せず、リース料を費用処理します(オフバランス処理)。ただし、新リース会計基準(2027年4月適用予定)ではオペレーティング・リースもオンバランスとなる予定です。
Q. 中小企業にもリース会計基準は適用されますか?
A. 中小企業の会計に関する指針では、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、一定の要件を満たせば通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理(費用処理)が認められています。ただし、金融機関からの融資審査ではリースの実態が考慮される場合があるため、重要なリース取引については注記等で情報開示することが望ましいとされています。
Q. 不要なリース契約を中途解約できますか?
A. ファイナンス・リースは原則として中途解約ができない契約です。中途解約する場合、残リース料相当額の違約金が発生するのが一般的です。リース期間満了時に再リースや返却を選択することで、コストの見直しが可能です。再リースの場合、リース料は通常大幅に低下します。
Q. リース資産の見直しはどのタイミングで行うべきですか?
A. 決算期末の3〜6か月前が効果的なタイミングです。リース契約の満了時期が集中する時期があれば、その前に棚卸しを行います。また、新リース会計基準(2027年4月適用予定)の影響を把握するために、早めに全契約の影響額を試算しておくことが推奨されます。毎年の決算準備に合わせて定期的に見直す体制を整えておくとよいでしょう。

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