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書式を制すれば、回収の一手が動く

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未収金の内容証明の書き方とテンプレート

未収金回収に使う内容証明郵便の書き方を解説。書式ルール(1行20字×26行)、文例テンプレート、費用内訳、e内容証明の手順、弁護士法72条の注意点まで、実務で使える情報をまとめました。

取引先からの入金が滞り、電話やメールでの督促にも応じてもらえない。そんな場面で次の一手として検討すべきが「内容証明郵便」です。通常の書留や普通郵便とは異なり、いつ・誰が・誰に・どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれます。

この記事では、未収金の回収を目的とした内容証明郵便の書き方を、書式ルールから文例テンプレート、費用内訳、e内容証明の手順まで実務に即して解説します。

内容証明郵便が未収金回収で使われる理由

内容証明郵便は、郵便法第48条に基づく特殊取扱の一種です。文書の内容を日本郵便が謄本により証明するため、後日の法的手続きにおいて「この内容の文書をこの日に送った」ことを客観的に立証できます。

未収金回収の場面で活用される理由は3点あります。

一つ目は、民法第150条第1項に定める催告としての効力です。内容証明郵便で催告を行うと、消滅時効の完成が6か月間猶予されます。時効が迫っている債権に対して即座に手を打てる手段として機能します。未収金の時効管理とあわせて理解しておくと、時効切れによる損失を防ぎやすくなります。

二つ目は、証拠保全の機能です。電話やメールと異なり、文書の内容が郵便局に5年間保管されます。後日「請求を受けていない」と主張する債務者に対して、客観的な証拠として機能します。

三つ目は、心理的な効果です。内容証明という形式で届いた書面は、通常の督促状とは受け手の受け取り方が異なります。「法的手続きへの移行を検討している」という意思を伝える手段として、任意の支払いを促す動機づけになります。

内容証明郵便に強制力はない

内容証明郵便はあくまで「文書の内容を証明する」制度であり、支払いを強制する法的効力はありません。相手方が支払いに応じない場合は、支払督促や少額訴訟など裁判所を通じた手続きへの移行が必要です。

書式ルール

郵便局の窓口で差し出す場合、文書の書式には明確な制限があります。この制限を守らないと受け付けてもらえないため、作成前に確認が必要です。

横書きの場合

横書きで作成する場合、以下の3パターンのいずれかに従います。

パターン1行の字数1枚の行数
パターンA20字以内26行以内
パターンB13字以内40行以内
パターンC26字以内20行以内

最もよく使われるのはパターンA(1行20字・1枚26行)です。Wordで文書を作成する場合は、ページ設定でこの字数・行数に合わせてから本文を入力します。

縦書きの場合

縦書きは「1行20字以内・1枚26行以内」の1パターンのみです。

文字の種類と部数

使用できる文字は、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、英字(固有名詞に限る)、および一般的に使用される記号です。図表や押印は記載できません。

同一内容の文書を3通作成し、封をせずに窓口に持参します。窓口での確認後、1通が受取人に送付され、1通が郵便局に保管され、1通が差出人の控えとして返却されます。

e内容証明では書式制限が緩和される

日本郵便のWebサービス「e内容証明」を利用する場合は、書式制限が実質的に緩和されます。Wordファイルで通常のレイアウトに近い形で作成し、アップロードするだけで手続きが完了します。急ぎの場合や書式調整の手間を省きたい場合はe内容証明が便利です。

記載すべき項目

未収金の回収を目的とした内容証明郵便には、以下の項目を漏れなく記載します。

当事者の特定

差出人(自社)の住所・社名・代表者名と、受取人(取引先)の住所・社名・代表者名を明記します。法人の場合は登記上の商号と本店所在地を正確に記載します。

債権の特定

いつ発生した何に基づく債権か、具体的に記します。「令和○年○月○日付業務委託契約(契約書第○条)に基づく業務委託報酬」「請求書番号第○○号に係る商品売買代金」のように、契約日・契約内容・金額を明確にします。

請求書番号や注文書番号があれば必ず記載し、相手方が「どの取引の話か」を特定できるようにします。

請求金額

元本と遅延損害金を分けて記載します。遅延損害金を請求する場合は、起算日・利率・計算根拠を示します。

契約書に遅延損害金の特約がある場合はその利率(商取引では年6%を設定している場合が多い)を、特約がない場合は改正民法第404条による法定利率(2026年3月時点では年3%)を適用します。

支払期限

具体的な日付で指定します。「本書面到達後7日以内」または「令和○年○月○日(○曜日)までに」のいずれかの形式が実務では一般的です。到達日からあまりにも短い期限を設定すると相手方の反発を招くことがあるため、7日〜14日程度が目安です。

振込先口座

銀行名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義を正確に記載します。口座名義の誤りが振込のトラブルを招くことがあるため、正確に確認してから記載します。

支払いがない場合の対応

「期限内にお支払いいただけない場合は、法的措置を検討いたします」という趣旨の文言を添えます。「訴訟を提起します」など具体的な手続きを示す場合もありますが、過剰な脅迫的表現は避けます。

文例テンプレート

以下は、未収金回収を目的とした内容証明郵便の文例です。1行20字・1枚26行の書式(パターンA)に準拠しています。


催 告 書

 拝啓 貴社ますますご清栄のこと
とお慶び申し上げます。

 さて、当社と貴社との間で締結い
たしました令和○年○月○日付業務
委託契約(以下「本契約」)に基づ
き、当社は令和○年○月○日に業務
を完了し、同月○日付請求書(第○
○号)にて金○○○,○○○円を請
求いたしました。しかしながら、支
払期日である令和○年○月○日を経
過した現在もご入金が確認できてい
ない状況です。

 つきましては、本書面をもって催
告いたします。

   記

一、請求金額 金○○○,○○○円
  (遅延損害金は別途請求いたし
  ます)

一、支払期限 本書面到達後14日以
  内

一、振込先
  ○○銀行○○支店
  普通預金 口座番号○○○○○○
  口座名義 カブシキガイシャ○○

 上記期限内にお支払いいただけな
い場合は、法的措置を検討いたしま
すことを申し添えます。

           敬具

令和○年○月○日

 住 所 ○○県○○市○○町○-○
 社 名 株式会社○○○
 代表者 代表取締役 ○○ ○○

宛先
 住 所 ○○県○○市○○町○-○
 社 名 株式会社○○○
 代表者 代表取締役 ○○ ○○

テンプレートの使い方

上記はあくまで文例です。個々の取引内容・債権額・経緯によって最適な文面は異なります。債権額が大きい場合や相手方との関係が複雑な場合は、弁護士への相談も選択肢です。

費用内訳

郵便局窓口で差し出す場合の費用は、以下の料金が合算されます。

費目金額
郵便料金(定形25g以内)84円
一般書留料金480円
内容証明加算料(1枚目)480円
内容証明加算料(2枚目以降)290円/枚
配達証明料350円

A4用紙1枚に収まる文書(書式パターンAであれば26行分)の場合、合計は84+480+480+350=1,394円が目安です。文書が2枚になると290円が加算されます。

配達証明は省略可能ですが、「到達した日付」を証明するために付けることを強く推奨します。内容証明だけでは送った内容の証明にとどまり、いつ届いたかを立証できません。支払期限の起算日や消滅時効の催告日を確定するためにも、配達証明はセットで利用するのが実務の常識です。

e内容証明(電子内容証明)の手順

日本郵便が提供するWebサービス「e内容証明」を利用すると、窓口に出向かずにオンラインで手続きが完了します。24時間365日受け付けており、急いで送付したい場合にも対応できます。

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e内容証明の書式制限は窓口差出しとは異なります。1行の字数や行数の制約ではなく、用紙はA4サイズ、フォントはMSゴシック・MSP明朝・MS明朝のいずれか、フォントサイズは10.5〜12ポイントの範囲で作成します。

料金は窓口差出しとほぼ同水準ですが、電子内容証明料が適用されるため若干異なります。日本郵便の公式サイトで最新の料金を確認してください。

送付時の実務上の注意点

配達証明を必ず付ける

前述のとおり、配達証明は内容証明郵便とセットで利用します。「催告が届いた日」を証明できなければ、時効完成猶予(民法第150条)の起算日が不明確になります。

受取拒否・不在の場合の対応

相手方が受取を拒否した場合でも、判例上は到達の効力が認められることが多いです(最高裁平成10年6月11日判決参照)。ただし、保管期間が経過して返送された場合は到達が認められない可能性があるため、再送や他の方法を組み合わせます。

不在が続く場合は、特定記録郵便との併用や、訴訟手続きへの移行も選択肢に入れます。

催告から6か月以内に次の手続きを

内容証明郵便による催告で得られる時効完成猶予の効果は6か月間です(民法第150条第1項)。この期間内に裁判上の請求(訴訟・支払督促の申立てなど)を行わないと、猶予期間終了後に時効が完成します。催告後は必ず6か月以内に次の手続きを取る必要があります。

弁護士法72条と自社送付の関係

内容証明郵便を送付する際に気をつけたいのが、弁護士法第72条との関係です。

弁護士法72条が禁じるのは、弁護士でない者が報酬を目的として「他人の法律事務」を取り扱うことです。自社の未収金を回収するために自社名義で内容証明郵便を送ることは、「自分の法律事務を自ら行う」行為であり、弁護士法72条の規制対象外です。

他社の債権回収を代行するのは弁護士法違反

問題となるのは、他社から債権回収を委託されて、報酬を受けながら内容証明の作成・送付を代行する場合です。これは弁護士でなければ行えません。「債権回収代行サービス」を自社の付帯業務として展開することを検討している場合は、弁護士法72条の観点から事前に法的確認が必要です。

送付手順のまとめ

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まとめ

任意の回収交渉が長期化した未収金は、未収債権の買取(売却)で早期に整理する手もあります。回収完了を待つよりキャッシュ化が早く、与信枠も実態に近づきます。

内容証明郵便の書き方と実務ポイント

  • 書式ルール(横書き1行20字・1枚26行が基本)を守り、同一文書を3通作成して封をせずに窓口へ持参する
  • 催告・証拠保全・心理的効果の3機能があるが、強制力はなく、催告から6か月以内に訴訟等の次の手続きが必要
  • 費用は配達証明込みで1,394円〜。e内容証明ならオンラインで24時間受付可能
  • 自社の未収金を自社名義で請求することは弁護士法72条の規制外。他社の債権回収代行は違反

内容証明郵便を送付したにもかかわらず支払いがない場合は、裁判所を通じた回収手続きへの移行を検討します。支払督促・少額訴訟・通常訴訟の使い分けについては、別記事で詳しく解説しています。

未収金の回収方針や手続きの進め方について、個別にご相談されたい場合は無料相談をご利用ください。

よくある質問

Q. 内容証明郵便の書式ルールを教えてください
A. 郵便局窓口で差し出す場合、横書きは「1行20字以内・1枚26行以内」「1行13字以内・1枚40行以内」「1行26字以内・1枚20行以内」のいずれか、縦書きは「1行20字以内・1枚26行以内」に従う必要があります。同一内容の文書を3通作成し(受取人用・郵便局保管用・差出人控え)、封をせずに窓口に持参します。
Q. 内容証明郵便の費用はいくらですか?
A. 郵便局窓口差出しの場合、基本郵便料金(定形25g以内84円)+一般書留料金(480円)+内容証明加算料(1枚目480円、2枚目以降290円)+配達証明料(350円)が合計されます。A4用紙1枚の文書であれば目安は1,394円〜です。e内容証明(電子内容証明)は料金体系が異なり、基本料金+電子郵便料+電子内容証明料で構成されます。
Q. 自社名義で内容証明を送っても問題ありませんか?
A. 自社の未収金を回収するために自社名義で内容証明を送ることは問題ありません。弁護士法72条が禁じるのは、他人の法律事務(他社の債権回収など)を報酬目的で代行する行為です。自社の債権について自ら請求書面を作成・送付することは、弁護士法の規制対象外です。ただし、内容が脅迫的な文言を含む場合は刑法上の問題が生じるため、表現には注意が必要です。
Q. e内容証明(電子内容証明)と窓口差出しの違いは何ですか?
A. e内容証明は日本郵便のWebサービス「e内容証明」を通じてオンラインで送付できる方式です。書式制限が実質的に緩和され(A4横書き・1行字数・行数の規定が異なる)、Wordファイルをアップロードするだけで手続きが完了します。24時間365日受付可能で、急いで送付したい場合に便利です。窓口差出しは用紙の書式確認が対面で行われるため、不備があればその場で修正できる安心感があります。
Q. 内容証明郵便を受け取り拒否された場合はどうなりますか?
A. 受取人が受取を拒否した場合でも、到達の効力が認められるのが判例の一般的な傾向です。ただし、保管期間が経過して返送された場合は到達が認められない可能性があります。受取拒否が明らかな場合は、相手方の家族や法人の担当者への送付、特定記録郵便の併用、または訴訟手続きへの移行を検討します。

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