財務改善ナビ
補助金・助成金

中途採用のコストを助成金で軽減

補助金・助成金 8分で読める

労働移動支援助成金|最大40万円の支給額・要件・申請手順【2026年度】

中途採用のコストを抑えたい中小企業へ。労働移動支援助成金は1人最大40万円が受給可能です。2026年度の制度変更点、雇入れ支援コースと中途採用拡大コースの要件・申請フローを整理しました。

労働移動支援助成金は、事業規模の縮小や事業転換に伴って離職を余儀なくされた労働者の早期再就職を促進するための助成金制度です。雇用保険法に基づく雇用安定事業として厚生労働省が所管しており、離職者を送り出す側の事業主と受け入れる側の事業主の双方が活用できます。

令和6年4月の制度改正により「早期再就職支援等助成金」に名称が変更され、賃金上昇を伴う労働移動を重視した制度へと移行しました。本記事では、2026年度(令和8年度)の最新情報を踏まえ、各コースの支給要件と申請手順を解説します。

名称変更の経緯と2026年度の制度変更

早期再就職支援等助成金への改称

令和6年(2024年)4月から、「労働移動支援助成金」は「早期再就職支援等助成金」に名称が変更されました。検索や相談の際は新名称でも旧名称でも受け付けられますが、公式の申請書類や厚生労働省の案内は新名称に統一されています。

改称の背景には、政府が推進する「賃上げ支援助成金パッケージ」への統合があります。単なる再就職支援にとどまらず、より高い処遇への労働移動を促進する方針が明確になりました。

2026年度の注目ポイント

2026年度(令和8年度)の概算要求では、雇入れ支援コースに約9.5億円、中途採用拡大コースに約10億円の予算が計上されています。制度面での主な変更点は次のとおりです。

賃金上昇要件の本格適用が定着し、雇入れ支援コースでは前職比5%以上の賃金上昇が支給の前提条件となりました。また、人材育成支援の加算措置が拡充され、OJT・OFF-JTそれぞれに訓練費用や賃金の助成が追加されています。

「労働移動支援助成金」で検索して本記事にたどり着いた方へ。制度の内容は「早期再就職支援等助成金」と同一です。以下では旧名称と新名称を併記しながら解説します。

助成金の全体構成 ── 4つのコース

早期再就職支援等助成金は、大きく4つのコースで構成されています。(関連記事: 補助金と助成金の違い

コース名対象となる事業主主な助成内容
再就職支援コース離職予定者の再就職を支援する事業主(送り出し側)再就職支援委託費用の1/2(中小企業)、求職活動休暇1日8,000円
雇入れ支援コース離職者を早期に雇い入れた事業主(受け入れ側)通常助成30万円/人、優遇助成40万円/人
中途採用拡大コース中途採用率を向上させた事業主中途採用率向上50万円、45歳以上初採用60万円
UIJターンコース地方移住を伴う労働者を雇用した事業主採用活動費用の1/2(中小企業、上限100万円)

本記事では、中小企業にとって活用頻度の高い雇入れ支援コースと中途採用拡大コースを中心に解説します。

雇入れ支援コースの詳細

支給要件

雇入れ支援コースの支給を受けるには、次の要件を全て満たす必要があります。

再就職援助計画(労働施策総合推進法第24条)の認定を受けた事業所から離職した労働者、または求職活動支援書の交付を受けた特定受給資格者を雇い入れること。対象者を離職日の翌日から3か月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れること。対象者を雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続雇用が見込まれること。

さらに、2024年4月以降の改正で追加された賃金上昇要件として、前職と比較して基本給ベースで5%以上の賃金上昇を6か月間の全賃金支払日において維持する必要があります。時間外手当や通勤手当などの変動的な手当は計算から除外されるため、基本給と固定手当で5%以上の上昇を設計する点に注意してください。

有期雇用契約で雇い入れた後に無期転換した場合や、紹介予定派遣を経由して雇い入れた場合は支給対象外です。最初から期間の定めのない労働契約で雇い入れる必要があります。

支給額と加算措置

雇入れ支援コースの支給額は、令和8年4月8日時点で次のとおりです。

通常助成は対象者1人あたり30万円。事業所の成長性が認められる場合(ローカルベンチマークの財務分析評価がB以上、または直近2事業年度の平均給与が5%以上上昇)は優遇助成として40万円が支給されます。年間の上限は1事業所あたり500人です。

人材育成支援の加算措置も設けられており、雇入れ日から6か月以内に訓練を開始した場合に適用されます。OFF-JTでは通常助成で960円/時間(優遇助成は1,060円/時間)の賃金助成に加え、訓練時間に応じて15万円から60万円の経費助成が受けられます。OJTでは通常助成で20万円の実施助成があります。

申請手続きの全体フロー

雇入れ支援コースの申請は、雇い入れから6か月経過後に行います。(関連記事: 補助金申請の全体フロー

1

再就職援助計画対象者の確認

採用候補者が再就職援助計画の対象者または求職活動支援書の交付を受けた特定受給資格者であることを、ハローワークに確認する

2

期間の定めのない労働契約で雇い入れ

離職日の翌日から3か月以内に無期雇用で採用する。賃金は前職比5%以上の上昇を設計する

3

6か月間の雇用継続と賃金台帳の整備

出勤簿、賃金台帳、雇用契約書の写しなど支給申請に必要な書類を日常的に整備する

4

支給申請書の提出

雇入れ日の翌日から6か月経過後、2か月以内に管轄の労働局またはハローワークに申請する

5

審査・支給決定

労働局が書類審査を行い、要件充足が確認されれば支給決定通知が届き、指定口座に入金される

申請書類に不備があると審査が大幅に遅延する場合があります。特に賃金上昇要件の証明については、前職の賃金を示す書類(離職票や源泉徴収票の写し等)の取得に時間がかかることがあるため、採用段階から準備を進めてください。

中途採用拡大コースの概要

中途採用拡大コースは、中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用率を向上させた事業主を支援するコースです。中小企業にとっては即戦力人材の確保を後押しする制度として位置づけられています。

支給には、中途採用計画を策定して管轄の労働局に届け出たうえで、計画期間内に中途採用率を一定以上向上させることが求められます。

区分中途採用拡大助成生産性向上助成(追加)
中途採用率の向上50万円25万円
45歳以上の初採用60万円30万円

対象労働者は、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として期間の定めのない労働契約(パートタイムを除く)で雇い入れる必要があります。

再就職援助計画の作成ルール

雇入れ支援コースを活用するには、離職者の送り出し側の事業主が「再就職援助計画」を作成し、ハローワークに提出していることが前提です。

再就職援助計画は、労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)第24条に基づく計画書であり、事業規模の縮小等に伴い1か月以内に30人以上の離職者が発生する場合は作成・提出が義務付けられています(同法第27条により届出義務)。30人未満の場合でも任意で作成・提出が可能であり、提出された計画の対象者は助成金の対象となります。

受け入れ側の事業主としては、採用候補者が再就職援助計画の対象者であるかどうかをハローワークの窓口で事前に確認してください。この確認を怠ると、雇い入れ後に助成金の対象外と判明するリスクがあります。

雇用調整助成金との使い分け

経営環境が悪化した際には、雇用維持を目的とする雇用調整助成金と、労働移動を促進する本助成金のどちらを活用すべきかが論点になります。

雇用調整助成金は、一時的な業績悪化に対して休業・教育訓練・出向を通じて雇用を維持する制度です。雇用保険法第62条に基づく雇用安定事業の一環であり、景気回復後に事業を元の規模に戻す見込みがある場合に適しています。

一方、労働移動支援助成金(早期再就職支援等助成金)は、産業構造の変化や事業再編など構造的な要因で事業規模の縮小が避けられない場合に適しています。離職者の早期再就職を促進しつつ、受け入れ側の事業主にも助成金が支給される点で、労働市場全体の流動性を高める設計です。

判断基準としては、経営環境の変化が一時的か構造的かを見極めることが重要です。判断に迷う場合は、管轄のハローワークや社会保険労務士に相談することが重要です。

活用時の注意点

不支給となるケース

助成金の趣旨に反する利用は不支給となります。対象者が再就職援助計画に記載されていない場合、過去に不正受給歴がある場合、雇い入れ後に短期間で離職させた場合、実質的に派遣や請負に該当する就業形態の場合は、いずれも支給が認められません。

他の助成金との併給

労働移動支援助成金(早期再就職支援等助成金)と特定求職者雇用開発助成金は同一の対象者に対して併給できない場合があります。また、[キャリアアップ助成金](/hojokin/career-up-joseikin/)の正社員化コースとは要件が異なるため、対象者の属性に応じて最も有利な制度を選択してください。

社会保険労務士の活用

助成金の申請代理は社会保険労務士の独占業務です(社会保険労務士法第2条)。自社で申請する場合にも、要件の事前確認や書類整備の段階で社会保険労務士に助言を求めることで、不備による不支給リスクを低減できます。

まとめ

この記事の要点

  • 労働移動支援助成金は令和6年4月から「早期再就職支援等助成金」に名称変更。制度は廃止されておらず、賃上げ支援パッケージの一環として拡充されている
  • 雇入れ支援コースは通常助成30万円/人、優遇助成40万円/人。前職比5%以上の賃金上昇が支給の前提条件
  • 雇用調整助成金との使い分けは経営環境の変化が一時的か構造的かで判断し、迷った場合はハローワークや社会保険労務士に相談する

補助金・助成金の活用についてのご相談

補助金や助成金の申請手続きは、制度ごとに要件や書類が異なるため、自社だけで対応するには負担が大きいケースもあります。財務改善ナビでは、中小企業の財務改善に関する無料相談を受け付けています。「自社にはどの制度が合っているのか」「申請に向けてまず何を準備すべきか」など、無料相談窓口までお問い合わせください。

よくある質問

Q. 労働移動支援助成金は廃止されたのですか?
A. 廃止ではなく名称変更です。令和6年4月から「早期再就職支援等助成金」に改称され、制度は継続しています。
Q. 雇入れ支援コースの支給額はいくらですか?
A. 通常助成で1人あたり30万円、成長性が認められる事業所は優遇助成で40万円です。
Q. 賃金上昇要件とは何ですか?
A. 雇入れ後の賃金が離職前と比較して5%以上上昇していることが支給条件です。
Q. 中小企業でも活用できますか?
A. 企業規模を問わず活用可能です。中途採用拡大コースには中小企業向けの優遇措置もあります。
Q. 雇用調整助成金との違いは何ですか?
A. 雇用調整助成金は雇用維持が目的、労働移動支援助成金は再就職促進が目的です。

関連記事

補助金・助成金ガイドの新着記事

補助金・助成金の対象制度を絞り込む

対象制度、申請前の論点、採択後の会計処理を分けて確認します。

制度を確認する