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似た科目が多い未収金、正しく使い分けできていますか?

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未収金の勘定科目|売掛金・未収収益との違いと仕訳

未収金(未収入金)の勘定科目と、売掛金・未収収益との違いを解説。固定資産売却、保険金、助成金、家賃収入など取引別の仕訳例、消費税の課税区分、決算時の表示科目、回収不能時の貸倒処理まで、実務に必要な判断基準をまとめました。

固定資産を売却した代金がまだ入金されていない。保険金の請求は済ませたが振込は来月になる。こうした取引を帳簿に記録するとき、使う勘定科目が「未収金(未収入金)」です。

ところが、似たような名前の科目として「売掛金」や「未収収益」も存在します。名前が似ている分、取り違えやすく、誤った科目で計上すると決算書の信頼性が損なわれます。融資審査で売掛金の比率を見られた際に、本来は未収入金であるべき金額が混入していると、営業債権の管理体制を疑われかねません。

この記事では、未収金の勘定科目としての位置づけを明確にしたうえで、売掛金・未収収益との違い、取引パターン別の仕訳例、消費税の処理判断、決算時の表示ルール、そして回収不能時の処理まで整理します。

未収金(未収入金)とはどんな勘定科目か

未収金は、本業以外の取引から発生した未回収の債権を計上する資産科目です。会社計算規則では「未収入金」と表記されますが、実務上は「未収金」と呼ばれることも多く、内容は同じです。

企業会計原則注解16では、営業取引以外の取引により発生した債権のうち、通常の営業循環過程にないものを「その他の流動資産」として処理すると定めています。未収入金はこの区分に該当します。

たとえば、不要になった社用車を売却して代金の受取りが後日になるケース、損害保険会社に保険金を請求して入金を待っているケース、行政から助成金の交付決定通知を受けたが振込がまだのケース。これらはいずれも、本業の売上活動とは無関係に発生した債権であり、未収入金として計上します。

未収金・売掛金・未収収益の違い

「まだ受け取っていないお金」を表す科目は3つあります。それぞれ使い分けの基準が異なるため、混同しないよう定義を押さえておく必要があります。

売掛金との違い

売掛金は、本業の営業活動から生じた未回収の売上代金を計上する科目です。商品の販売やサービスの提供といった、その会社の主たる営業活動に起因する債権が対象です。

一方、未収入金は本業以外の取引から生じた債権です。たとえば建設業の会社が工事代金を受け取る権利は売掛金ですが、同じ会社が保有する車両を売却した代金の未回収分は未収入金です。判断基準は「その取引が会社の主たる営業活動に該当するかどうか」に尽きます。

勘定科目対象となる取引具体例
売掛金本業の営業活動から発生した債権商品販売代金、サービス提供料金、工事代金
未収入金本業以外の取引から発生した債権固定資産売却代金、保険金、助成金、有価証券売却代金

不動産会社の家賃収入はどちらか

不動産賃貸が本業である会社の場合、未回収の家賃は売掛金に該当します。一方、製造業の会社が余剰スペースを賃貸している場合の未回収家賃は、本業以外の収益であるため未収入金です。業種によって同じ取引でも使う科目が変わる点に注意してください。

未収収益との違い

未収収益は、継続的な役務提供契約に基づいて、すでに提供期間が経過しているにもかかわらず対価の支払いを受けていない金額を計上する科目です。企業会計原則注解5で「経過勘定項目」として定義されています。

未収入金との最大の違いは、「取引が完了しているかどうか」です。未収入金は資産の引渡しや役務提供が完了した時点で発生します。未収収益は契約期間がまだ継続中で、期間の経過に応じて日割りで発生するものです。

勘定科目取引の完了状態典型的な取引例
未収入金取引完了済み固定資産の売却、保険金請求、助成金交付決定
未収収益契約期間が継続中(経過勘定)貸付金の未収利息、未経過の賃貸料

たとえば、取引先に対する貸付金の利息で、利払日が6月末と12月末の年2回払いの場合。3月決算であれば1月から3月の3か月分の利息が未収収益にあたります。利息の対象期間は経過しているものの、利払日が到来していないため未収のままです。これは未収入金ではなく、経過勘定である未収収益として処理します。

取引パターン別の仕訳例

未収入金が発生する代表的な取引について、仕訳を確認します。いずれも発生主義に基づき、取引が完了した時点で収益と未収入金を計上し、後日入金があった時点で未収入金を消し込みます。

固定資産(車両)の売却

帳簿価額50万円の社用車を80万円で売却し、代金は翌月振込。

発生時の仕訳:

借方金額貸方金額
未収入金800,000円車両運搬具500,000円
固定資産売却益300,000円

入金時の仕訳:

借方金額貸方金額
普通預金800,000円未収入金800,000円

保険金の受取り

火災で倉庫が損壊し、損害保険会社から保険金200万円の支払い決定通知を受領。入金は翌月。

発生時の仕訳:

借方金額貸方金額
未収入金2,000,000円雑収入2,000,000円

保険金の支払いが確定した時点で収益を認識します。保険会社に請求書を送っただけの段階では、支払い可否が未確定のため計上しません。

助成金・補助金の交付決定

雇用関連の助成金50万円について、行政から交付決定通知を受領。入金は2か月後。

発生時の仕訳:

借方金額貸方金額
未収入金500,000円雑収入500,000円

助成金の計上タイミング

助成金は申請時ではなく、交付決定通知を受けた時点で計上します。法人税法上も、交付決定の通知があった日の属する事業年度の益金に算入されます(法人税基本通達2-1-42)。申請から決定までに長い期間がかかる場合、期をまたぐこともあるため、決定通知日を正確に把握しておくことが重要です。

家賃収入(本業以外の場合)

製造業の会社が所有するビルの一室を月額10万円で賃貸。当月分の家賃が未入金のまま月末を迎えた場合。

発生時の仕訳:

借方金額貸方金額
未収入金100,000円受取家賃100,000円

不動産賃貸が本業でない会社の場合、未回収の家賃は未収入金として処理します。

消費税の処理|課税・非課税・不課税の判断

未収入金を計上する際に間違えやすいのが消費税の取り扱いです。未収入金の計上自体に消費税は発生しません。消費税の課税区分は、あくまで元の取引の性質で決まります。

取引の種類消費税の区分根拠
固定資産(車両・備品)の売却課税取引消費税法第4条(国内の資産譲渡)
有価証券の売却非課税取引消費税法第6条、別表第一
損害保険金の受取り不課税取引資産の譲渡等の対価に該当しない
助成金・補助金の受取り不課税取引資産の譲渡等の対価に該当しない
家賃収入(住宅用)非課税取引消費税法第6条、別表第一
家賃収入(事業用)課税取引消費税法第4条

消費税法第4条は、「国内において事業者が行った資産の譲渡等には消費税を課する」と定めています。未収入金の元となる取引がこの「資産の譲渡等」に該当するかどうか、さらに非課税取引の範囲(消費税法第6条・別表第一)に含まれるかどうかで判定します。

課税取引に該当する場合、消費税の認識時期は未収入金を計上する時点、つまり資産の引渡しや役務提供の完了時です。入金を受けた時点ではありません。消費税の申告で課税売上の計上時期を誤ると、修正申告が必要になる場合があります。

決算時の表示科目と1年基準

決算書(貸借対照表)上、未収入金は原則として流動資産の「その他の流動資産」に表示します。ただし、回収期日までの期間が1年を超える場合は、「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」に基づいて固定資産(投資その他の資産)の「長期未収入金」に振り替えます。

企業会計原則注解16は、営業循環基準と1年基準の併用を求めています。売掛金は営業循環過程にあるため、回収期間にかかわらず流動資産のままですが、未収入金は営業循環過程にないため1年基準で判定する必要があります。

1

取引の完了を確認

資産の引渡し・役務提供の完了・交付決定通知の受領など、未収入金の発生事実を確認します。

2

回収期日を確認

契約書や通知書に記載された支払期日、または合理的に見込まれる入金日を確認します。

3

1年基準で表示区分を判定

決算日の翌日から起算して1年以内に回収される見込みであれば流動資産、1年を超える場合は固定資産(長期未収入金)に表示します。

4

回収懸念の有無を評価

支払期日を過ぎても入金がない場合や取引先の信用状態に変化がある場合は、[貸倒引当金](/glossary/kashidaore-hikiatekin/)の設定を検討します。

長期未収入金への振替を怠ると、流動比率が実態より高く算出されます。金融機関の融資審査では流動比率が重要な判断材料になるため、粉飾と疑われるリスクもあります。決算整理の段階で未収入金の明細を洗い出し、回収期日を個別に確認してください。

回収不能時の処理|貸倒損失への振替

取引先の倒産や長期の未回収によって未収入金の回収が見込めなくなった場合、最終的には貸倒損失として費用計上します。

法人税法上、貸倒損失を損金に算入するためには、法人税基本通達9-6-1から9-6-3のいずれかの要件を満たす必要があります。

区分通達要件の概要
法律上の貸倒れ9-6-1会社更生法・民事再生法の認可決定、特別清算の認可等により債権が切り捨てられた場合
事実上の貸倒れ9-6-2債務者の資産状況等から全額回収不能が明らかな場合
形式上の貸倒れ9-6-3継続取引先の売掛債権について取引停止後1年以上経過した場合

形式上の貸倒れ(通達9-6-3)は「売掛債権」が対象であるため、営業活動に関連しない未収入金には原則として適用されません。未収入金の回収不能を損金算入するには、法律上の貸倒れ(9-6-1)または事実上の貸倒れ(9-6-2)の要件を充たす必要があります。

未収入金100万円が回収不能となった場合の仕訳:

借方金額貸方金額
貸倒損失1,000,000円未収入金1,000,000円

回収に不安が生じた段階で、早めにサービサーへの売却や法的手続きを検討することも選択肢です。詳しくは未収金の損失処理の全体像を確認してください。

また、未収金が決算期をまたいだ場合の仕訳処理については未収金の年度またぎ仕訳で詳しく解説しています。

未収金の勘定科目|実務判断のまとめ

  • 未収金(未収入金)は本業以外の取引から生じた未回収債権を計上する資産科目
  • 売掛金は本業の営業活動、未収収益は契約期間継続中の経過勘定であり、それぞれ計上基準が異なる
  • 消費税の課税区分は未収入金の計上自体ではなく、元の取引の性質(課税・非課税・不課税)で判定する
  • 決算時は1年基準で流動・固定の表示区分を判定し、長期のものは長期未収入金に振り替える
  • 回収不能時は法人税基本通達9-6-1または9-6-2の要件を満たしたうえで貸倒損失として処理する
  • 誤った科目で計上するとBSの信頼性が損なわれ、融資審査や[税務調査](/glossary/saiteki-zeimu/)に影響するため、取引ごとに科目を判定する

勘定科目の使い分けは地味な作業ですが、決算書の正確性を支える土台です。「本業の売上か、それ以外か」「取引は完了しているか、継続中か」。この2つの問いに答えるだけで、売掛金・未収入金・未収収益の判定は完了します。科目選択に迷ったときは、取引の性質に立ち返って判断してください。

よくある質問

Q. 未収金と未収入金は同じ勘定科目ですか?
A. 同じです。企業会計原則では未収金、会社計算規則では未収入金と呼びますが、内容は同一の資産科目です。
Q. 売掛金と未収金はどちらもBSの流動資産ですか?
A. 原則として両方とも流動資産です。ただし回収期日が1年超の未収金は長期未収入金として固定資産に表示します。
Q. 助成金の入金前に未収金を計上する必要がありますか?
A. 交付決定通知を受領した時点で未収入金として計上します。申請中の段階では計上しません。
Q. 未収金に消費税はかかりますか?
A. 未収金の計上自体に消費税は発生しません。元の取引の課税区分(課税・非課税・不課税)に従います。
Q. 未収金が回収不能になったらどう処理しますか?
A. 法人税基本通達9-6-1から9-6-3の要件を満たせば、貸倒損失として損金算入できます。

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