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法人の解散登記手続きと費用|登録免許税から司法書士報酬まで

法人の解散登記に必要な費用(登録免許税3万円・清算人選任9,000円・官報公告約3.2万円・清算結了2,000円)と手続きの流れを解説。司法書士報酬の相場や自分でやる場合の注意点も詳しく説明します。

会社を閉じる決断をしたとき、経営者が真っ先に気になるのは「どれくらいのお金がかかるのか」という点ではないでしょうか。解散登記ひとつをとっても、登録免許税・官報公告・専門家報酬と費用の種類が複数あり、全体像が見えにくいと感じる方が多いです。

法人の解散には、会社法に定められた一連の登記手続きが必要で、それぞれに法定費用(登録免許税)が発生します。解散登記が3万円、清算人選任登記が9,000円、清算結了登記が2,000円で、これに官報公告費(約3万円)を加えると実費だけで7万円強になります。

本記事では、解散登記の手続きの流れと各段階の費用を、根拠法令とともに具体的に解説します。自分で進める場合の注意点と司法書士へ依頼する場合の費用相場についても触れます。

解散登記に必要な費用の全体像

費用の種類と金額一覧

法人の解散から清算結了までの手続きで発生する費用は、大きく「法定費用(登録免許税)」「公告費用」「専門家報酬」の3種類に分けられます。

費用の種類金額の目安根拠
解散登記の登録免許税30,000円登録免許税法別表第一第24号
清算人選任登記の登録免許税9,000円同上
官報公告掲載料25,000〜40,000円会社法499条1項
清算結了登記の登録免許税2,000円登録免許税法別表第一第24号
司法書士報酬(登記依頼の場合)80,000〜150,000円
税理士報酬(確定申告の場合)150,000〜500,000円

登録免許税と官報公告費は専門家に依頼しても自分で行っても必ずかかる法定コストです。専門家報酬は依頼しない場合は節約できますが、書類作成の手間と期限管理のリスクが生じます。

登記の申請先は、会社の本店所在地を管轄する法務局です。申請は窓口持参・郵送・オンライン申請のいずれかで行えます。

支店がある場合の追加費用

本店のほかに支店がある会社の場合、支店所在地の法務局への登記申請も必要になります。支店所在地での解散登記には登録免許税が2,000円(同一の法務局管轄外の支店ごと)追加でかかります。複数支店がある場合はその分だけ費用が増えるため、解散前に支店の整理を検討することも一案です。

解散登記の登録免許税(3万円)

登録免許税の計算根拠

株式会社・合同会社・合名会社・合資会社といった法人が解散登記を申請する際、登録免許税として3万円が課されます(登録免許税法別表第一第24号イ)。

これは会社の規模や資本金に関係なく一律の金額です。登記申請書に登録免許税分の収入印紙を貼付するか、オンライン申請であれば電子納付で支払います。現金納付は認められておらず、必ず収入印紙または電子納付で行う必要があります。

合同会社と株式会社で金額は同じ

解散登記の登録免許税3万円は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社のいずれも同額です(登録免許税法別表第一第24号)。会社の形態によって変わるのは、その後の手続き(清算人の選任方法など)であり、登記費用自体に差はありません。

申請期限と申請先

解散の登記は、解散の日から2週間以内に行わなければなりません(会社法926条)。株主総会で解散決議を行った当日が解散日です。週末・祝日を挟む場合でも、法務局の営業日での起算になるため注意が必要です。

申請先は本店所在地を管轄する法務局です。申請に必要な主な書類は、解散登記申請書、株主総会議事録(解散決議の記録)、定款(会社に存する場合)です。

清算人選任登記(9,000円)

清算人の役割と登記義務

解散登記と同時に、清算人選任登記も申請します。清算人は、解散後の会社の代表者として財産の換価・債務の弁済・残余財産の分配を担う役割を持ち、取締役の職務を引き継ぎます(会社法481条)。

定款に別段の定めがなければ、解散時の取締役が清算人に就任するのが原則です(会社法478条1項1号)。取締役が複数いる場合は全員が清算人候補となり、代表清算人を選定することが多いです。

清算人選任登記の登録免許税は9,000円です(登録免許税法別表第一第24号ロ)。解散登記と同時申請が一般的で、申請書は2種類別々に用意しますが法務局への提出は一度にまとめられます。

申請に必要な書類

清算人選任登記の申請書には、清算人選任登記申請書、株主総会議事録(清算人選任の記録)、清算人の就任承諾書、清算人の印鑑証明書が必要です。代表清算人については、新たに印鑑を法務局に届け出ることになります。

官報公告費用(約3万円)

官報公告が必要な理由

会社が解散した後、清算人は「官報に解散公告を掲載し、2か月以上の期間を定めて債権者に対し債権を申し出るよう求める」手続きが必要です(会社法499条1項)。これは債権者保護のための手続きで、この2か月の期間は法律上短縮できません。

官報公告を行わずに清算を進めると、清算人が損害賠償責任を負う可能性があります(会社法501条参照)。省略できない手続きです。

掲載費用の目安

官報の掲載料は、公告文の行数に応じて決まります。一般的な解散公告で15〜20行程度の掲載となり、費用は25,000〜40,000円が目安です。掲載内容の複雑さ(債権者への個別催告内容が多い場合など)によっては費用が増えることもあります。

官報への申込みは、官報販売所または独立行政法人国立印刷局のオンラインサービスから行えます。申込みから掲載まで7〜10営業日かかるため、解散登記の完了後できるだけ早く手配することが重要です。

2か月の公告期間は短縮できない

官報公告期間(2か月以上)は会社法499条1項に定められており、短縮は認められていません。この期間が清算手続き全体のボトルネックになります。解散登記申請と並行して官報公告の申込み手続きを進めると、スケジュールが効率化できます。

個別催告も忘れずに

官報公告に加えて、会社が把握している債権者(「知れている債権者」)には個別に書面で通知する義務があります(会社法499条2項)。官報公告だけでは「知れている債権者」への対応として不十分とみなされるため、取引先・金融機関・リース会社などへの個別通知も確実に行ってください。

個別催告を怠った場合、清算結了後であっても当該債権者から請求を受けるリスクがあります(会社法503条参照)。

清算結了登記(2,000円)

清算結了登記とは

官報公告期間が経過し、全ての資産の換価・債務の弁済・残余財産の分配が完了した後、清算人は決算報告書を作成して株主総会の承認を得ます。その承認から2週間以内に、清算結了登記を申請します(会社法929条)。

清算結了登記が完了した時点で、会社の法人格が消滅します。登録免許税は2,000円です(登録免許税法別表第一第24号ニ)。

解散登記(3万円)と比べて金額が小さいのは、清算結了登記が「法人格の消滅」を記録するための後始末的な手続きであり、登記としての経済的意義が小さいためです。

申請に必要な書類

清算結了登記の申請書には、清算結了登記申請書、決算報告書、決算報告承認株主総会議事録が必要です。これらの書類は清算の最終段階で作成するものであり、内容に誤りがあると補正が必要になるため、税理士や司法書士と連携して作成することが安心です。

解散手続きの全体の流れ

解散から清算結了までの手続きを時系列で整理します。

1

株主総会で解散決議・清算人選任

議決権の3分の2以上の賛成による特別決議が必要です(会社法309条2項11号)。同日に清算人も選任します。

2

解散登記・清算人選任登記の申請

解散日から2週間以内に本店所在地の法務局へ申請します。登録免許税は合計3万9,000円です(会社法926条)。

3

税務署・自治体への届出

税務署・都道府県税事務所・市区町村に異動届出書を提出します。従業員がいる場合は年金事務所・ハローワークへの届出も必要です。

4

官報公告・債権者への個別催告

官報に解散公告を掲載し、2か月以上の期間を設けて債権者に申出を求めます(会社法499条)。知れている債権者には個別通知も行います。

5

財産の換価・債務の弁済

公告期間が経過した後、資産の売却・債権回収・借入金の返済などを進めます。

6

残余財産の確定・分配

全債務を弁済した後の残余財産を株主に分配します。みなし配当の課税に注意が必要です(法人税法24条1項4号)。

7

清算事業年度の確定申告

解散事業年度および清算事業年度ごとに法人税の確定申告が必要です(法人税法74条)。

8

清算結了登記

決算報告書の株主総会承認後2週間以内に申請します。登録免許税は2,000円です(会社法929条)。

司法書士に依頼する場合の費用相場

依頼内容と費用の関係

解散から清算結了までの登記手続きを司法書士に一括依頼した場合の報酬相場は、8万〜15万円程度です。これに登録免許税・官報公告費などの実費(約7万円)が加わります。

費用が変動する要因としては、会社の規模・役員数・支店の有無・議事録作成の難易度などがあります。役員が多い場合や支店がある場合は、書類の種類が増えるため費用が高くなる傾向があります。

税理士へ確定申告業務を依頼する場合は、解散事業年度の申告・清算事業年度の申告・清算確定申告で15万〜50万円程度の報酬が相場です(会社の規模・申告件数による)。

司法書士への依頼が特に有効なケース

次のような場合は、自己申請よりも司法書士への依頼を検討することをお勧めします。

  • 解散日から2週間という期限が厳しいとき
  • 役員変更や本店移転など直近の登記事項変更がある場合
  • 支店があって複数法務局への申請が必要なとき
  • 議事録や就任承諾書の作成に自信がないとき
  • 過去に登記を放置していて現在の登記情報が実態と異なる場合

司法書士への依頼費用は会社の清算費用として損金算入できます(法人税法22条3項2号)。費用対効果と期限リスクを天秤にかけて判断してください。

自分で解散登記を行う場合の手順と注意点

自己申請が向いているケース

休眠会社(実態のある事業活動がない会社)や、役員が1名でシンプルな構成の小規模会社では、自己申請も十分に検討できます。法務局の商業登記窓口では申請書類の無料相談を受け付けているため、事前に確認しておくと安心です。

申請書の作成と提出方法

解散登記申請書は法務局のWebサイトからひな形を入手できます。申請書には、会社の商号・本店・解散の事由・解散年月日・申請年月日・申請人(清算人)の氏名・住所・押印などを記載します。

提出方法は窓口持参・郵送・オンライン申請(法務局の「登記・供託オンライン申請システム」)の3種類です。オンライン申請は24時間受け付けており、収入印紙代が一部軽減される場合があります。

登記事項証明書で現在の登記情報を確認する

解散登記を申請する前に、法務局で登記事項証明書(全部事項証明書)を取得して現在の登記情報を確認しましょう。取締役の任期切れなど放置された変更事項があると、解散登記申請前に変更登記が必要になります。登記事項証明書の取得費用は1通600円(窓口)です。

よくある書類不備と対策

自己申請でよくある書類不備として、株主総会議事録の押印漏れ・清算人の就任承諾書の準備忘れ・印鑑届出書の添付漏れなどがあります。

補正が必要になると再度法務局への出向または郵送が必要になり、2週間の申請期限を超えるリスクが高まります。書類は提出前にチェックリストを使って確認するか、法務局の事前相談を活用することを勧めます。

解散に伴う税務上の手続き

解散事業年度の確定申告

会社が解散すると、その期の事業年度は解散日で区切られます。解散日の翌日から2か月以内に、解散事業年度の法人税確定申告が必要です(法人税法74条1項)。

解散に際して固定資産の評価替えや引当金の取り崩しが発生する場合があり、通常の決算よりも処理が複雑になることがあります。なお、清算中も各清算事業年度(解散日の翌日から1年ごと)の確定申告が求められます(法人税法14条1号)。

会社清算に伴う税務処理の詳細は「会社清算の税金と残余財産分配の実務」で解説しています。

消費税の届出

解散した場合、消費税の「事業廃止届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。これを怠ると消費税の申告義務が継続しているとみなされる場合があるため、解散届と合わせて速やかに提出してください。

残余財産とみなし配当

清算結了時に残余財産が生じ、株主に分配する場合、分配額のうち資本金等の額を超える部分はみなし配当として株主に課税されます(法人税法24条1項4号、所得税法25条1項4号)。

株主が個人の場合は配当所得として総合課税、株主が法人の場合は受取配当等の益金不算入規定(法人税法23条)が適用される場合があります。詳しい計算方法については顧問税理士に確認してください。

まとめ

法人解散登記の費用まとめ

  • 登録免許税は解散登記3万円・清算人選任9,000円・清算結了2,000円の合計4万1,000円。これに官報公告費(約3万円)を加えると実費だけで約7万円強になる
  • 司法書士報酬は8万〜15万円程度が相場。登録免許税・官報公告費の実費は依頼の有無に関わらず必ずかかる
  • 解散登記の申請期限は解散日から2週間以内(会社法926条)。書類不備による補正で期限を超えるリスクを避けるため、書類の事前確認か専門家への相談をお勧めする

会社の解散手続きは、登記・税務・社会保険・雇用保険と複数の手続きが並行するため、全体のスケジュールを早めに組み立てておくことが重要です。特に官報公告の2か月間は短縮できないため、解散決議から清算結了まで最低でも3か月程度はかかることを前提に計画を立ててください。

手続きの詳細については「会社清算の手続きと流れ」「廃業手続きの全体ガイド」もあわせてご覧ください。

解散・清算の進め方や費用感についてご不明な点は、無料相談窓口からお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 解散登記にかかる登録免許税はいくらですか?
A. 解散登記が3万円、清算人選任登記が9,000円で合計3万9,000円です。清算結了登記には別途2,000円が必要です。解散から清算結了まで通算すると登録免許税は計4万1,000円になります(登録免許税法別表第一第24号)。
Q. 官報公告にかかる費用はどれくらいですか?
A. 官報公告の掲載料は公告文の行数によって変動しますが、一般的な解散公告では3万円前後が目安です。申込みから掲載まで7〜10営業日程度かかるため、早めに手配する必要があります(会社法499条1項)。
Q. 司法書士に依頼した場合の費用はどのくらいですか?
A. 解散登記・清算人選任登記・清算結了登記を一括依頼した場合、司法書士報酬は8万〜15万円程度が相場です。登録免許税・官報公告費などの実費は別途かかります。会社の規模や書類の複雑さで変動します。
Q. 解散登記は自分でできますか?
A. 書類作成と法務局への申請自体は自分で行えます。ただし、解散日から2週間以内という期限があり(会社法926条)、書類に不備があると補正が必要になって期限を超えるリスクがあります。休眠会社や単純な構成の会社であれば自己申請も検討できますが、司法書士に確認してから進めることをお勧めします。
Q. 解散登記と清算結了登記の違いは何ですか?
A. 解散登記は会社が解散した事実を登記するもので、解散日から2週間以内に申請します(登録免許税3万円)。清算結了登記は、資産・債務の整理が完了して法人格を消滅させるための登記で、清算手続きの最後に行います(登録免許税2,000円)。どちらも省略できない手続きです。

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